マムシは食べられるか?〜幼い日を振り返って〜

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関西では鰻丼(うなどん)のことを”まむし”と呼ぶ―。

よって、マムシは食べられる。以上。

 

否ッ!マムシとは、「毒蛇のマムシ」ことなり!!

 

マムシの基本知識

マムシとは

「まむし…?聞いたことないわ。ドメスティックブランドか何かかしら?」

そんな箱入り娘のために、まずはマムシについての説明から。

マムシの主な特徴を記にピックアップしてみました。

皆さんもいくつか知っているものがあるのでは?

ヘビである。正式には「ニホンマムシ」と呼ばれる。
日本固有のヘビで、沖縄などの一部地域を除きほぼ全土に生息している
体長は45 〜60センチメートルほどだが、まれに1メートル近くになる個体もあるもよう。
特に北海道産のマムシは大型で、60センチメートルを超える個体が多い。
伊豆大島には「赤まむし」の別名を持つ体色が赤い個体が多いと言われる。
毒はハブよりも強い。ただし、ハブと比較し体が小さいため毒の量は少ない。

↑マムシの画像

マムシって思ってたより大きいですね…。

大人になってからは動いてるマムシを見たことがないので、生きてるマムシに出くわしたら超恐いです。

なお、マムシはドメスティックブランドといえばドメスティックブランドです。

 

 

マムシの生態

マムシについてもっと知りたくなってきたでしょう?

もう少しだけ、掘り下げて見たいと思います。

生息場所は森林や藪の中。水場を好む。
危険を感じると、「舌を出し入れする」、「しっぽを振って威嚇音を出す」、「肛門腺から匂いを出す」などの行動をとる
肉食。哺乳類・両生類・魚類・爬虫類などなど、なんでもござれ。共食いもする
木に登ることもある
冬は冬眠する
卵を生むのでは無く、体内で育てる「胎生」である
1回あたりの出産で2〜12匹産む

…なんかやっぱり色々恐いですね〜。

ちなみに天敵と呼べる相手はいないみたいです。

秋の夜長には、孤高がゆえの孤独を感じたりするのでしょうか?

 

 

マムシの毒の強さ

マムシの特徴でインパクトがあるのは「毒の強さ」。

ハブよりも強いらしいですが、具体的にどんなもんなんでしょう?

日本の毒ヘビランキングは以下の通りです↓

第1位 ヤマカガシ LD50=5.3mg/kg
第2位 マムシ   LD50=16mg/kg
第3位 ハブ    LD50=54mg/kg

引用元:https://animalbattles.wealthyblogs.com/?p=2046

LD50=〇〇mg/kgとは、「実験動物の体重1kgあたりの致死量が〇〇mgで、実験に使った個体数の半分が死んじゃうよ」って意味らしいです。

なんか難しいですね。単位「ポイズン」で”150ポイズン”とかだとワクワクしたんですが…。

なにはともあれ、マムシの毒の強さはハブの約3倍もあるんですね。あなおそろしや!

マムシに噛まれると以下のような症状が現れるそうです。

  • 激痛
  • 発熱
  • 腫れ
  • 出血
  • 激しい悪寒
  • 打撲したように皮膚が真紫になる
  • 吐き気
  • 物が二重に見える

引用元:https://koureisya-blog.info/mamusini-kamaretara/

ちなみに、噛まれた直後の痛みは「針で刺されるような、焼けるような痛み」らしい。

 

 

そんな恐ろしいモノを食べられるのか?

そんなこわ~いヘビですが、

マムシのエキスは滋養強壮によく効く、なんていわれますよね。

『赤まむし』みたいな栄養ドリンクやマムシ酒なんかは精力剤として割とポピュラーですし。

ただし、それはあくまで「エキス」の話であって”食べる”となると話は変わります。

スーパーやドラッグストアで『食べるマムシ』みたいな商品は未だかつて見たことがありません。

というか、今まで生きてきた中で”食品”としてマムシが売られている光景は記憶に一切ありません。

ただし、それでも、、私はマムシを食べたことがあるのです!

 

 

わたしと、マムシと、おんちゃと

―遠い昔の話。それは私がまだ小学校に入る前のことでした。

当時の私には「おんちゃ」と呼び親しみ、足しげく通う親戚のおじさんがいました。

おんちゃは私のことをよく可愛がってくれました。

お互いの年齢から言って、きっと私は孫のような存在だったのでしょう。

私も優しくしてくれるおんちゃが大好きでした。

 

幼稚園が休みの日は朝から夕方まで、おんちゃの家に入り浸っていました。

山へ行っては、小川でサワガニを獲ったり。

川へ行っては、ヤマメやイワナを捕まえたり。

彼は私に色んなことを教えてくれました。

 

おんちゃは空手家で、私に稽古をつけてくれたこともありました。

後になって父に聞いたのですが、おんちゃは道場に通っていたわけではありませんでした。

なんと、漫画『空手バカ一代』と”通信講座”で空手を習っていたのです(!)謎過ぎます。

幼稚園児だった私に、今で言う武井壮ばりの「不良集団の倒し方レクチャー」を自信満々に語ってくれました。

 

彼のワイルドで真っ直ぐな生き方が私は大好きでした。

彼も私のことを気に入り、一人前の男に育ててくれようとしたのでしょう。

『わかば』を咥えながら多くのサバイバル術を教えてくれました。

衝撃的だったのは「何も食べるものがない時の対処法」として、その場にあった芝を食べたり、土を食べたりして見せてくれた時のことです。

 

そんなおんちゃと過ごしていたある日のこと。

自分でもきっかけは覚えていませんが、虫の居所が悪かったのか私は癇癪を起こしてしまいました。

きかん坊だった私は、怒ると手がつけられなかったそうです。

泣いて、喚いて。それがいつまでも収まりません。

 

さすがのおんちゃも参ってしまったようでした。

一向に収まる様子の無い私を見て、彼は何かを思いついたのでしょう。

 

彼は自身の口に人差し指を当て「シー!(静かに)」のジェスチャーをしてみせた後、

「〇〇(私の名前)、男同士のひみづだがらな!こっちゃ、ついでこぉ(こっちについて来い)!」

と笑いながら言いました。

 

子供は「秘密」という言葉が大好きです。

その言葉が持つ魔力には抗えません。

私は、泣くのを止めて彼の歩く方向へついて行きました…

 

そこは台所でした。

料理を一切しない彼がそこに立っていること自体が不思議な感じだったのを憶えています。

彼は壁に刺さった釘からぶら下がっているヒモのようなものを外すと、私の目の前に持ってきました。

 

私はそれが何か分かりませんでした。

壁にはまだ2、3本同じような”ヒモ”がぶら下がっています。

 

私は分からないと答えました。すると彼は嬉しそうに、この”ヒモ”の正体を教えてくれました。

「こりぁ、マムシだ。毒ヘビだ。食ってみっか?」

彼が言うには、食べる目的で山に行き自らマムシを獲ってきているとのことでした。

 

目の前にあるそれは、確かに細長いですがヘビには見えませんでした。

皮を剥いであるので、表面はベージュっぽい色をしています。

干してあるのでパサパサした見た目でしたが、触ると意外に硬かったです。

 

「〇〇(彼の妻)さも、〇〇(彼の娘)さも、誰さも言うなよ。そしたら食わせでやっから。」

 

もう好奇心旺盛な幼稚園児は止まりません。

すっかり乗り気で、マムシを食べることになりました。

 

マムシを持って二人は外へ出ました。

庭には平べったい石と、丸みを帯びた石がセットで置いてありました。

おそらく、クルミの殻を割るための石だったのでしょう。

彼は、その石に干したマムシの端を乗せ、石で叩き始めました。

 

マムシの端っこがどんどんほぐれてきます。

彼はほぐれた身のほんのちょびっとを毟り、私に差し出しました。

私は喜んで受け取り、口の中に入れました。

 

こうして、当時5歳だった私は「マムシを食べる」という貴重な経験をしたのです。

 

 

マムシを食べる文化はあるのか?

そういうわけで、私はおんちゃからマムシを食べさせてもらいました。

…が、果たしてマムシは食べても大丈夫なものだったのでしょうか?

もし食べられないモノだったとしたら、あの日おんちゃは私に優しい嘘をついたことになります。もしくは食えないモノを食わせられたか。

調べてみたところ、結論としては”食べられる”ようです。

なんでも江戸時代には貴重なタンパク源としてよく食べられていたとか。

東京にはマムシ料理を提供するお店もあるらしいです。

ネットを色々見ていると「マムシを丸焼きにしてみた」、「マムシの血を飲む」などのチャレンジングな企画をしている方もいらっしゃいました。

私が思っているよりも、マムシを食べることは日本人にとって身近なことであることが分かりました。

漢方では、マムシを薬としても使うそうで。

マムシの皮をはがし、内臓を取り除いた身を乾燥させたものを「反鼻(はんぴ)」と呼ぶそうです。私が食べたのがこれですね。薬だったんだ…。

反鼻を粉末状にしたものは漢方薬のほか、マムシドリンクの原料にも用いられているそうです。

 

 

マムシのお味は?

私が食べたマムシの干物は美味しかったです。

おんちゃから貰った干物の欠片を食べ終わった後、私はすぐに「もっと」とねだりました。

結局二人で丸々一匹を平らげてしまいました。

味としては、魚の干物そのままでした。

私の父が”カワハギ”の干物が好物だったので、小さい頃から私もよく食べていたのですがその味に似てました。

おそらく一番近いのが”コマイ”の干物でしょう。

淡白な味といい、身の硬さ・見た目といい、噛めば噛むほど出てくる味わい深さといい、コマイそのものです

コマイ(氷下魚)は、タラ目タラ科に属する魚類。カンカイ(寒海)とも呼ばれる。マダラ・スケトウダラと並び、日本近海に生息するタラ類の1つ。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%9E%E3%82%A4

コマイの干物を食べたことがある方ならわかると思いますが、干物の中でもトップクラスのおいしさです。

以前釣りをしていた時にコマイをたまたま釣り上げたので、家に帰って塩焼きにして食べてみたのですが、味が淡白すぎるのと少し臭みがあったこともあり干物と比べると味は断然落ちました。

ということはマムシも塩焼きより干物の方がおいしいのでしょうか?機会があれば塩焼きも食べてみたい気はします。

そういえば、マムシもコマイも身が硬いので「金づちで叩いてから食べる」という共通点もありますね。

 

 

毒ヘビだけど食べても大丈夫なの?

マムシの毒は、咬まれなくても傷口から体内に入ると危険なようです。

ところが、飲み込んだ場合などは胃液で分解されるので無害だと言われています。

マムシの毒の本来の目的は「自分が捕食するために獲物を弱らせるためのもの」なので、それを食べて自らにも危険が及ばないようなものになっているそうです。これは毒サソリや毒クモにもいえることだそう。

ちなみにフグなどのように「自らが食べられないようにするため」の毒を飲み込むのは危険ですのでご注意を!

基本的にはマムシは(コブラやハブであろうと、)フグのような手間を掛けずに調理して食べてもノープロブレムです。

ただし、毒牙が刺さってしまったり、手指や口腔内、食道などの消化管に傷があれば、そこから毒素が侵入してしまいます。

そのため、マムシを調理する際にはまず頭を切り落とすようにするらしいです。毒は頭部だけに分布しており、胴体には毒が無いためです。

※詳しくはネットで情報収集して頂くようお願いします。

 

 

食べる際の注意点について

ここまで見て頂いた皆さんの中には「私も食べてみたい」という方もいるかもしれません。

ここからはマムシを食べる際の注意点についてお伝えしたいと思います。

マムシは毒ヘビです!自分で捕獲する場合は噛まれないようにしましょう。

上でも述べたようにマムシの毒は強力です。食べるためにマムシを獲る場合は絶対に噛まれないようにしましょう。

ちなみにマムシがもっとも危険になる時期は6~10月とのこと。この時期のメスは出産を控え、気性が荒く攻撃的になっているようです。

マムシの生命力は驚異的!調理の際も噛まれないようにしてください。

マムシを調理する際は毒液に触れないようにしながら、まず頭部を切り落とすことが重要です。

ただ、マムシの生命力はとても強く、頭部を切断してもしばらくの間は活動できるようなので、頭を切り離したとしても油断は禁物です。

野生のマムシは寄生虫に注意!

野生の個体には寄生虫がたくさんなので生食は避けてください。焼くか、カラカラに干すかしましょう。

食べるときは入念な下調べを!

この記事だけを読んで、マムシを食べるのは危険です。ネットなどで詳しく調べてからにしましょう。

マムシ料理が食べられるお店を利用するのが一番安全かもしれません。

 

 

マムシに噛まれた時の対処法

口で毒を吸い出すのは危険!

毒を吸い出すこと自体は有効らしいのですが、口を使って吸いだすのはNG。

口の内に傷口があると毒が体内に侵入する可能性があるためです。

毒を吸い出したい場合は、『ポイズンリムーバー』という毒を吸い出すための専用器具を使いましょう。

ポイズンリムーバー↓

引用元:https://www.amazon.co.jp/

「傷口を強く縛る」ことはシロートは避けた方が無難

これも良く言われる対処法ですが、あまりお勧めしません。

血行を止めてしまうと確かに毒の拡散は防げます。しかし、傷口周囲の組織にダメージを与えてしまい、結局は回復が遅れてしまうらしい。

まずは落ち着くことから始める

人はパニックに陥ると冷静な判断が出来なくなるほか、思いもよらない行動をとってしまいがちです。結果、事態を悪化させることにもつながりかねません。

マムシが毒ヘビといっても、コブラなどのように噛まれて即死するようなタイプの毒はありませんので、まずは落ち着きましょう。

噛まれたらすぐに病院に行きましょう

これが一番重要です。大事に至らないようにするために一刻も早く医療機関に掛かりましょう。ちなみに病院に行く時には走っても大丈夫とのこと。(というか早く病院にかかるメリットの方が大きいらしい。)

医療機関では血清を注射する処置がとられるそうですが、この処置は噛まれてから6時間以内に行うことが望ましいそうです。

 

 

あとがき~幼き日の思い出~

マムシを食べたことがある人は中々いないでしょうが、私のように5歳にして堪能した人は全国でも数えるほどではないでしょうか?

精力剤の代名詞であるマムシですが、幼い私の体の一部がホット!ホット!(BY藤井隆)にはなりませんでした。身体には何の変化も現れなかったように思います。

 

マムシを食べた時の後日談

すっかりマムシにハマってしまった私は、再びおんちゃの家を訪れた時に「もう一度食べたい」という衝動に駆られました。

台所の壁にはマムシがまだ数匹ぶら下がっています。ただし、5歳児には到底届かない高さに吊るされています。

そこで私は大人の人に取ってもらうことにしました。

おんちゃは不在でしたが、彼の娘(成人)が家にいたので台所まで来てもらい、吊るされているマムシを取ってもらうようお願いしました。


――「男同士のひみづだがらな!」――

 

――「○○(娘)さも、言うなよ!」――


5歳児に約束を守らせようとした彼の失策でした…。

夕方、仕事を終え帰ってきたおんちゃに対して、彼の妻と娘は怒り狂いました。

「マムシなんて子供に食べさせるとは何事か!!」

彼はシュンと肩を落としながら、集中砲火に耐え続けていました。

そんな彼を見ていた私はいたたまれなくなり、早々におんちゃの家から立ち去り自宅に何食わぬ顔で帰りました(笑)

・・・すまん、おんちゃよ・・・(笑)

 

今は亡き人たちを想って

先日、おんちゃの娘が天国に旅立ちました。

闘病の末、若くしてこの世を去りました。

彼女の死に触れ、「そういえば小さいときマムシを食べたなぁ…」なんてことをふと思い出しました。

”おんちゃ”と”おんちゃの奥さん”もこの世にはすでにいません。

つまり私とこの思い出を共有できる人々は皆、天国に行ってしまいました。

3人とも、生前は私を大変可愛がってくれました。

マムシの件でおんちゃが怒られた時なんかも誰も私を叱らず、何事もなかったかのように私を家に温かく迎え入れてくれました。

直接の家族の関係にはありませんでしたが、常に無償の愛情を注ぎ続けてくれたのです。

私も彼らのことを生涯忘れることはないでしょう。

 

どうぞ安らかに…。

 

※本記事はマムシを食べる事を推奨するものではありません。食べる場合は入念な下調べの上、自己責任で行うようお願いします。

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