前回のおさらい~CORSA65ってどんなタイヤ?~
『CORSA(コルサ)65』は、ATR RADIAL (エー・ティー・イー ラジアル)というブランドの販売するコストパフォーマンス重視のスタンダードタイヤです。
インドネシアの大手タイヤメーカーの製品で、いわゆるアジアンタイヤとよばれるものです。 国産メーカー同クラスの1/2~2/3の低価格で購入できるのが最大の特徴です。
2020年1月現在、日本国内に流通しているこのタイヤのラインナップは、
- 175/65R14(製品名:CORSA65)
- 175/65R15(上記に同じ)
- 205/60R15(製品名:CORSA60)
の3サイズです。
CORSA65の「イイところ」・「ダメなところ」について
廉価なブランドのスタンダードタイヤという立ち位置から考えれば、ユーザーにもある程度の割り切りは必要。
このタイヤを履く上で、この点を意識するかどうかでこのタイヤの評価は分かれるでしょう。
実際にこのタイヤを4年間・3万㎞履いてみて感じたことを、私なりにまとめてみます。
私のレビューでは特筆すべき点のみに絞って、悪いところ“4つ”と良いところ“2つ”を解説します。
【タイヤ情報】CORSA65 195/65R15(※販売終了したサイズ)
【 装着車両】プリウス(ZVW30型)
【使用距離】約30,000㎞
【使用期間】4年(冬季を除く、通算12シーズン)
CORSA65のダメなところ

一番の弱点はコレです。
ロードノイズが「際立って」気になるレベルです。
静粛性という点においては、国産のスタンダードクラスのタイヤと比べても全く勝負になりません。
冬季に国産スタッドレスタイヤに履き替える度、スタッドレスタイヤの静かさに感動してしまいます。
舗装が新しい路面と荒れている路面との違いや、走行速度による音のボリュームの違いが顕著なのがこのタイヤ。
車両指定の空気圧で走行した場合、ザラついた路面においては“ボォーー”とか“ゴォーー”といった低音域寄りのノイズが大きいです。
ちなみに空気圧を高くしていくと音域も上がっていきます。
イメージ的には社外マフラーの音質に似ているかもしれません。
異なる点は、マフラーの音の場合は後ろから聞こえてくるのに対し、タイヤのノイズは四隅から響いてきますので音が小さくても結構気になります。
高速道路などを走っているときには尚更その騒々しさを体感出来ます。
高速道路を走行した後、サービスエリアに立ち寄った時などにカーステレオのボリュームをかなり上げていたことに気付きます。
私のプリウスだと、カーステの低音が結構車外に漏れているので少し恥ずかしいときがありました。
特に、人の話し声(ラジオ等)をスピーカーから流しているシチュエーションでは、その会話が聞き取りにくくなるタイプのノイズです。
高速走行を快適に移動したい方や、カーオーディオに拘る方には全く向かないタイヤでしょう。

乗り心地の固さもこのタイヤの特徴のひとつ。
路面の段差や継ぎ目から受ける衝撃を割とそのまま乗員に伝えてきます。
国産タイヤだとサスペンションやショックアブソーバーで減衰しきれない細かな入力をタイヤで多少吸収してくれている感じがするのですが、このタイヤの場合はその度合いがかなり小さいです。
この傾向は、街乗りなどの中低速域で特に強く現れます。
また、このタイヤに履き替えると「ピシッ!」という内装のきしみ音が心なしか増えたような気がします。
これも乗り心地の固さからくるものではないでしょうか。
ソフトな乗り心地を好まれる方は購入対象からは外しましょう。

これ、アジアンタイヤあるあるです。
サイドウォールが比較的早い段階で茶色く変色してしまいます。
おそらく紫外線による劣化が原因であろうと思われますが、ほんとにあっという間に色が変わってしまいます。
私の場合だと、春~秋の3シーズンを待たずに変色が起こりました。
青空駐車なので紫外線の影響は比較的強く受けるのでしょうが、1年経たないうちに退色してしまうなんて国産タイヤだとほとんど聞かない話です。
タイヤが茶色くボケているとクルマ全体の印象も古臭く感じてしまうので、見た目を気にされる方には厳しいタイヤです。
ちなみに変色してしまっても、タイヤワックスなどで黒みと光沢は(一時的にですが)復活しますので、気になる方はこまめにお手入れしてあげてください。
普段屋外にクルマを駐車する機会多い方で、「タイヤワックスがけなんてめんどくさくてしてられないよ」という方は、このタイヤを選ばない方が良いでしょう。

このタイヤはエクストラロード(XL)規格です。
一般的な国産タイヤはJATMA規格と呼ばれるものですが、JATMA規格に比べXL規格のタイヤは「クルマに見合った適正な空気圧がどれくらいなのか」が分かりづらくなっています。
JATMA規格のタイヤだと指定空気圧どおり入れるだけです。運転席のドア付近をみればすぐに、適正な空気圧がわかります。インチアップなどでタイヤのサイズが変わらない限り、空気圧で悩むことはほぼありません。
しかしXL規格だと、純正装着タイヤの「耐荷重指数(ロードインデックス、以下LI)」と「指定空気圧」を基に、空気圧別負荷能力リストから、負荷能力が同等かそれ以上になるような空気圧を導き出さなければなりません。
この話を聞くだけで頭が痛くなりますよね…。実際やってみるとそこまで難しい計算でもないのですが、手間といえば手間。
XL規格の場合は空気圧の調整が非常に重要です。その車種に必要な空気圧を確認し、新車装着時の負荷能力を下回らないようにしてください。
負荷能力が下回るような場合、タイヤの偏摩耗や燃費の悪化、最悪タイヤがホイールから外れたり、バーストする可能性もあります。
なお当ブログでは、空気圧の重要性についての記事もアップしておりますので、興味のある方はこちらも読んでいただけるとうれしいです。
CORSA65のイイところ
タイヤに限らず、ダメなところばかりみていては人生楽しくありません。
ここからは反対に、このタイヤの良いところをみていきたいと思います。

このタイヤを初めて履いた時、良い意味で期待を裏切られたことを憶えています。
それまで履いていた国産スタンダードタイヤに比べ、乾燥路での「グリップしてる感」が強く感じられました。
この感覚は特に、アクセルを軽く踏みながらカーブを曲がるときや、流れの良い幹線道路で赤信号になって減速したりするときによく感じました。
マイカーはプリウスですし、攻めた走りをして試したことも無いのですが、乾燥路に限って言えば通常走行で安心感は国産スタンダードタイヤ同等か、それ以上にあります。
もちろんウェット路面も普通に走れますし、特に恐い思いをしたこともありません。
ですが、最近の国産タイヤのウェット性能の向上には付いていけていないかな…と感じるのも正直なところです。それぐらい今の国産タイヤは濡れた路面での性能が良いです。
CORSA65を履くと、ステアリングの手ごたえがずっしりとしたフィーリングに変わるのも美点だと思いました。
街乗りだけだとハンドルの重さがダルく感じたりもするでしょうが、距離を走る人や平均移動速度の高い方などには「オレ、今ドライブしてるわぁ~」的な感覚が味わえると思います。
プリウスは高速道路で飛ばした時の挙動が多少落ち着きに欠けるところがあるのですが、このタイヤで幾分か改善されました。
アスファルトを噛みながら走る…みたいなフィーリングが味わえるスタンダードタイヤです。

このタイヤの価格は、ざっと国産の2/3です。
【前編】でも言いましたが、スタンダードタイヤはどのメーカーでも、低コスト・低価格を重視しているカテゴリーとなります。
当然、選ぶ方のユーザーも「少しでも安く」を望みます。
そんなカテゴリーの中でも、価格面で優位に立つアジアンタイヤの競争力が高いのは間違いないと思います。
ただ、アジアンタイヤの中には『CORSA60/65』よりも価格が安いものはいくつか存在しています。
「じゃあ、そっち(アジアンタイヤの最安銘柄)を選べばいいじゃん」という意見もあるとは思います。
ですが…いくら安いタイヤが良いといっても、最低限の安全性や性能は有していて欲しいと思う気持ちは私だけではないはず。
スタンダードタイヤを選ぶユーザーが望んでいる、「少しでも安く」という言葉の中には、「なるべく品質や性能が良いものを…」という大前提の条件が含まれています。
その意味からすると、この『CORSA60/65』は(いくつかの不満こそあれど、)日常で普通に使える品質のタイヤだと、個人的には思います。
「安いタイヤで」という条件を提示した時に、車屋から勧められたのがこのタイヤでした。
理由を聞くと、「これまで多くのお客さんのクルマに履かせてトラブルになったことがないし、評判も上々なので、ウチではコレをオススメしてるんです。」との回答でした。
私自身も4年間トラブルなく乗り切ることができました。特にコワい思いもした記憶はありません。
『AUTOWAY』など通販サイトでのレビューもなかなかの高評価ですので、少なくとも「使い物にならない」類いのタイヤではないことは確かでしょう。
安いだけのタイヤではなく、そこに一定の品質が付いてくる——。
これも、このタイヤの良いところと言い切ってしまって問題ないでしょう。
※上記レビューは『CORSA60/65』以外のアジアンタイヤを批判するものではありませんので悪しからず。



