
紀元前469 年〜紀元前399年
出身地:ギリシア・アテナイ
西洋哲学、とりわけ道徳哲学の基礎を築いた人物。
冴えないルックスでありながら、その語り口により人々を魅了する。ジムで体を鍛えるのと、美しく若い男が好き。
「ソクラテス以上の賢者はいない」という神のお告げの真偽を確かめるため、町の人々相手に問答をする日々を送る。
恐妻家としても有名で、「結婚したまえ。良妻なら幸福になれるし、悪妻なら哲学者になれる」という名言を残している。
画像出典:Wikipedia
【無知の知】ソクラテスさんの回答は…
分からない。だから一緒に考えよう。
自らの無知を自覚することが、真理への第一歩となる。
相対主義が隆盛をきわめていた古代ギリシャにおいて、反逆者が現れます。
それがソクラテスです。
ソクラテスは、プロタゴラスから相対主義の哲学を教えられた政治家たち論破しまくります。
なぜ、そんなことをしたのか?
政治家たちが人気取りのパフォーマンスにだけ熱心で、真面目に政治に取り組まなくなっていたからです。

極端に言うと「絶対的なものなんて無いんだから、全部テキトーでいいよ」状態になってしまったのです。
それにブチ切れたソクラテスは彼らのもとに出向き、馬鹿のフリをして相手を質問攻めにします。

変なのが来てるぞ〜
繰り返される質問のラッシュに、いずれ相手は答えに詰まってしまいます。
そうなったらドヤ顔で、ソクラテスは前もって用意していたセリフを吐くのです。
あれあれ〜、 答えられないんですか?
知らないのに今まで偉そうに語ってたんですねwww
公衆の面前でこれをされた政治家たちは、もう赤っ恥です。集まった観衆も騒然としています。

相手をブチのめした後にソクラテスは、観衆に向き直り問いかけました。
なぁ、みんな!本当に正しいことって何か!?
政治家たちはそれを知っているかのように語っていたが、実は何もわかっていなかった!
では、本当の善とは何か!?それはッ…!

コイツ知っているのかも…
私にも全然わからん!!

だから、皆でそれを一緒に考えようではないか!!!
ソクラテスの主張が斬新だったのは、自論を語るのではなく「自分は無知である」と開き直った点にあります。
これが、かの有名な【無知の知】です。
この言葉はしばしば…
- 無知を自覚している人は、それを自覚していない知識人よりも賢い
- 知らないことを知っている謙虚な人は素晴らしい
…という意味に捉えられることが多いですが、本質はそこではありません。
無知の知とは、「無知を自覚することが、真理を追求する源動力となる」ということである。
すでに知っている事柄を「知りたい!」と思うはずがありません。
知らないからこそ、「知りたい!」と思うのです。

さて、ここからのソクラテスが猛烈にカッコいいのです。
政治家たちから恨みを買ったソクラテスは捕らえられ、「若者を堕落させた」という罪で死刑を宣告されてしまいます。
幸いなことに死刑執行までには、まだ日数があります。逃げようと思えば国外に逃げることだって出来たのです。

ソクラテス様!なぜ、お逃げにならないのですか!?このままでは…
合法的な裁判で下された判決である以上、民はそれに従わなければならない。
逃げるという行為は、私にとって「信念に反する」ものだ。
私は信念を貫く。
「この世界には命を賭けるに値する真理が存在するのだ」
こう言わんばかりに、彼は自ら毒入りのグラスを飲み干して命を絶ちました。
このソクラテスの生き様を見た若者たちは衝撃を受け、彼の意志を継ぐことを決意します。
こうして、真理を追い求める旅はソクラテスから始まったのです。

ソクラテスの答え
分からない。だから一緒に考えようよ。
無知を自覚することが、真理を追求する源動力となる。
次回予告:この世に唯一の「絶対に疑えないもの」とは?時代に選ばれた男、デカルト。
キリスト教の誕生以降、停滞する哲学の進歩―。
ソクラテスの死後から2000年以上経っても、真理に続く糸口すら見えてこない。
だがひょんなことから、千載一遇のチャンスが訪れる!
時代の波に選ばれた男の名はデカルト。
彼は数学的手法を用い、真理に向かって突き進む。
絶対確実なものを探すために、あらゆるものを否定するという絶望的な戦い…。
懐疑の限界を超えた先に見えた、一筋の光とは!?
次回、『この世に唯一の「絶対に疑えないもの」とは?時代に選ばれた男、デカルト。』乞うご期待!!