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後編:クルマの屋根にある「ヒレ」の正体とは?

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目次

自分のクルマもフィンタイプに変更できる?

スタイリッシュな見た目から、人気のあるフィンタイプアンテナ。

自分が今乗っている車のアンテナを、後からフィンタイプに変更することはできるのでしょうか?

答えはイエスです。各パーツメーカーから後付可能なフィンタイプアンテナが販売されています。

ただし、注意すべき点がいくつかあります。

1つめは、交換できるのはポールアンテナ→フィンタイプのみということ。

上記以外のケースでは、基本的に変更はできません。

AM/FMラジオ受信以外の機能を持つような高機能アンテナの場合も、交換は原則としてNG。

自分の車に取り付けられるか、まずは適合をよく調べてから購入するようにしましょう。

もう1つは、電波の受信状況が悪くなる可能性があるということ。

車のアンテナの設計は想像以上にシビアです。

車は移動体なので、360°どの位置からでも電波をキャッチできる性能が求められます。

あのトヨタでさえも、フィンタイプアンテナの開発には苦労したのですから、アフターパーツで取付ける際には多少の性能ダウンは覚悟しなければなりません。

取付けは素人でも問題無いレベル

わたしもDIYでフィンタイプアンテナを取付けした経験があります。

取付作業自体はドライバーさえあれば、誰でも出来るような内容でした。

ただし走行中に外れたりすると危険ですので、取付けは確実に行うようにしましょう。

特に本体を両面テープで固定する前の脱脂は必ず行ってください。

ポールアンテナを外して、ネジで台座にアンテナ線を固定。あとは両面テープで本体を貼付ければ完成。

有名メーカーの製品だと1万円前後しますが、私が購入したのは本体価格1980円のもの。

取付けして半年ほどで色褪せが気になったため、元のポールタイプに戻しました。

ですが、アンテナ感度的には問題無く、外れたりする気配もありませんでした。

取付けを検討している人は、以下のような製品を選ぶのが良いかとおもいます。

  • 車種に適合するもの
  • ブースター付きのもの
  • 固定用の両面テープが全周に貼られているもの(内部への雨水の侵入防止のため)
  • 突起が丸まっているもの(外部突起規制に対応するもの)

変わったのはカタチだけではない

かつてカーアンテナといえば、ラジオの電波を受信するだけのものでした。

しかし時代の流れとともにカーアンテナの多機能化が進み、様々な電波を受信する目的で用いられます。

●カーナビのGPS信号 

●リモコンキーの電波 

●地上デジタル放送 など

近年では、車両に通信機能を搭載して、リアルタイムな各種情報を送受信する「テレマティクス」というシステムも導入されています。

テレマティクスのイメージ
出典:あいおいニッセイ同和損害保険

テレマティクスの新しいところは、情報センターからの電波を受信するだけではなく、送信も出来るようになったこと。

つまり双方向の通信が可能になったわけです。

テレマティクスで送受信できる情報
  • 渋滞情報
  • 気象情報
  • 緊急通報機能
  • 車両盗難時の追跡機能 など

導入した当初は「使えない」という意見も多かったのですが、インターネットへの常時接続が可能になったことで、利便性・実用性は確実に向上しています。

このような常時接続型の通信機能を有したクルマが、最近耳にすることが多くなった「コネクテッドカー」と呼ばれるものです。

クルマの進化に伴い、アンテナは形状だけでなくその中身も高性能化していることがわかります。

2021年5月現在、トヨタが販売するコネクテッドカーのラインナップは計18台。写真はヤリスの高性能版である『GRヤリス』のもの。

フィンタイプはもはや古い?

よりコンパクトに、より目立たないようにという目的から開発されたフィンタイプアンテナ。

その方向性を突き詰めていくと、もはや「アンテナの存在を無くすことはできないか?」という結論にまで至ります。

結果として、デザイン重視の車種や背の高い車種を中心に、ガラスアンテナが再び採用されつつあります。

現行モデルの『セレナ』ではリアサイド
ガラスにアンテナが組み込まれている。

異なるアプローチとして、「スポイラーに埋め込む」タイプのアンテナも高級車を中心に、新しいモデルには搭載されています。

画像はルーフスポイラー埋め込みタイプ。このほかに、バンパーやトランクリッドにも搭載することが可能。

最新のカーアンテナは「魅せる」のではなく、「隠す」というのがキーワードになっているようです。

カーアンテナが実現する、これからの世界とは?

以上、クルマの屋根に付いている「ヒレ」の正体に迫りつつ、カーアンテナの歴史と進化について解説してきました。

最後に、未来について少しだけ触れて終わりたいとおもいます。

2020年、カーアンテナの分野において新しい動きがありました。5G通信に対応した新たなアンテナの誕生です。

窓ガラスに設置することで、クルマが基地局化する、『WAVEATTOCH』というアンテナが開発されました。

ガラス一体型5Gアンテナ
『WAVEATTOCH』
出典:NTTドコモ

その通信速度はテストコースで下り最大11Gbps、一般道でも3.8Gbpsという驚異の性能です。

YouTubeを高画質(1080p)でストレスなく視聴できる速度が5 Mbps程度といわれています。

11Gbpsだと、その760〜2200倍ということになります。凄まじい通信速度ですね。

課題としては、既存のカーアンテナとノイズ干渉しない位置を特定するのが難しいとのこと。

このアンテナの需要が高まれば、近い将来、今付いているアンテナの方が無くなるのかもしれません。

先述した「コネクテッドカー」の登場により、ネットワークを通じて様々なモノと「つながる」時代がやってきました。

  • スマホやPCとつながる
  • 道路上に設置された機器とつながる
  • 他車とつながる

これにより、スマホでのクルマの遠隔操作 、先行車との連携による自動追従運転赤信号の待ち時間のお知らせが可能になりました。

信号機と通信を行うことにより
赤→青信号に変わるまでの時間が
わかるようになった。
出典:トヨタ自動車

現時点では「つながることのできるモノ」の数が少ないため、今後いかに普及率を高められるかがカギとなります。

富士経済の調査結果によると、2035年のコネクテッドカー普及率は世界規模でみた場合で乗用車は80%、商用車では75%ほどになると見込まれているそうです。

その頃には完全自動運転が実現して、私たちの想像の遙か先を行く未来が待っているのかもしれません。

アンテナの進化はまだまだ終わらないでしょう。

ハイテク電気自動車メーカーのテスラ「モデル3」に搭載されているアンテナの数は計34基!

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