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あなたの脳は1ペタバイト!?人間の記憶容量について驚きの真実

あなたが今まさに読んでいるこの情報も、あなたの好きな歌の歌詞も、大切な人の顔も、すべてあなたの脳の中に保存されています。

しかし、その脳の記憶容量は一体どれぐらいなのでしょうか?

この記事では、科学の視点から、人間の脳の驚くべき記憶力について深掘りしていきます。

また、コンピュータと比較したときの私たちの脳の能力についても考察します。

一緒に、私たちの脳の不思議な世界を探求しましょう。

目次

人間の脳の記憶容量はどれぐらい?

人間の脳の記憶容量を完全に理解するのは困難です。しかし、いくつかの推定が存在します。

そのひとつが、人間の脳が約1ペタバイト(1000テラバイト)の情報を格納できるとするものです。

1ペタバイトって、どれぐらい?

1ペタバイト(PB)は非常に大きなデータ容量で、1,000テラバイト(TB)または1,000,000ギガバイト(GB)に相当します。

映画で表すと…

1つのHD映画が平均的に約2GBであるとすると、1ペタバイトは約50万本のHD映画に相当します。

音楽で表すと…

1曲が平均的に5MBであるとすると、1ペタバイトは約200億曲のMP3音楽ファイルに相当します。

写真で表すと…

1枚の高解像度のデジタル写真が約2MBであるとすると、1ペタバイトは約500億枚の写真に相当します。

文字で表すと…

1ページのテキストが約2KBであるとすると、1ペタバイトは約500兆ページのテキストに相当します。これは地球を何周もする巨大な書棚に等しい量の本になります。

一応言っておくと、これらの数値は概算であり、実際のデータサイズはその種類や品質によります。

しかしながら、これらの例からもわかるように、1ペタバイトというデータ容量は非常に大きな量の情報を格納することができます。

−1ペタバイトって、どれくらい?−

HD映画 だと…
(約2GB/本)
約50万本
音楽ファイル だと…
(約5MB/曲)
約200億曲
テキスト だと…
(約2KB/ページ)
約500兆ページ
デジタル写真だと…
(約2MB/枚)
約500億枚

「1ペタバイト」という数字はどこからきている?

この推定は、脳のシナプスの数に基づいています。

構造
ニューロン
(神経細胞)
約860億個
シナプス
(ニューロン間の接続)
約1兆個
(10^15)

シナプスは、ニューロン(脳の主要な細胞)間の接続点であり、情報の伝達に重要な役割を果たしています。

この推定は、各シナプスが1ビット(bit)の情報を格納できると仮定した場合のものです。

1ビットってどれぐらい?

ビット(bit)は、情報を表現する最小の単位です。

単位換算結果
ペタバイト(PB)1
テラバイト(TB)1,000
ギガバイト(GB)1,000,000
メガバイト(MB)1,000,000,000
キロバイト(KB)1,000,000,000,000
バイト(B)1,000,000,000,000,000
ビット(bit)8,000,000,000,000,000

ビットは「binary digit(バイナリ・デジット)」の略語で、「0」または「1」のいずれかの値を持つことができます。ちなみにバイナリは”二進法”という意味です。

ビットが1つあれば、2つ(0または1)の状態を表現できます。つまり、一つのスイッチがオン(1)かオフ(0)かを表すのに1ビットが必要ということです。

人間の脳にはおおよそ10^15(1兆)のシナプスがあるとされているため、この数字に基づいて計算されたものです。

−脳の容量は、シナプス1つあたりの容量でおおよそ推定できる−

シナプス1つあたり約1ビット
ニューロン1つあたり約1キロバイト
脳全体約1ペタバイト

※これは非常に大まかな推定であり、実際の値は脳の部位やニューロンの種類によります。

1ペタバイトは、大型のサーバーラックやデータセンター並みの膨大なデータ量

2023年5月現在、市販されているハードディスクドライブ(HDD)の容量は数テラバイト(TB)です。

例えば、最大で20TB程度のHDDが一般的に市販されています。

1ペタバイト(PB)は1,000テラバイト(TB)に相当します。

したがって、20TBのHDDを使用すると、1PBのストレージ容量を得るためには50台のHDDが必要になります。これらを一緒に配置すると、非常に大きな物理的スペースが必要になります。

−脳とHDDの容量を比較−

人間の脳HDD
(ハードディスクドライブ
容量1000TB20TB
必要な数1個50個

※1000TB=1PB

HDDドライブの場合は冷却が必要で、それぞれが電力を消費し、データの冗長性(データが失われた場合のバックアップ)を確保するための追加のドライブが必要になることも考慮すると、1PBのHDDベースのストレージシステムは、大型のサーバーラックやデータセンターでしか現実的には運用できません。

つまり、1ペタバイト(PB)のストレージ容量を持つコンピューターは存在しますが、一般的にはこれほどの大容量は個人用のデスクトップPCやラップトップ(ノート)PCではなく、データセンターや大規模なサーバー環境でのみ運用されていることになります。

もしも、人間の脳が1ペタバイトだとしたら、真に驚くべきはその「コンパクトさ」と言えそうです。

「人間の脳は1ペタバイト」説は本当なのか?

あくまで「1シナプス=1バイト」と仮定した場合の話

「人間の脳の容量が1テラバイトである」という推定は、ノースウェスタン大学の教授である、ポール・レーバー(Paul Reber)が述べたものです。

彼の専門分野は認知心理学と神経科学です。彼の研究は、記憶、学習、意識などの認知プロセスを理解するための方法を探求しています。

レーバーが人間の脳の記憶容量を約1ペタバイトと評価したのは、脳の複雑さと情報処理能力を定量的に表現するための試みでした。

この推定は、脳の記憶力を説明するための一つの手法ですが、人間の脳がどのように情報を符号化し、保存し、そして取り出すかについての完全な説明ではありません。

つまり、これはあくまで推測であり、脳がどれほどの情報を保持できるかについての確定的な答えを提供するものではないということです。

言ってみれば、レーバー教授が述べた「1ペタバイト」という値は、脳がいかに驚異的な複雑さと能力を持っているかを強調した発言に過ぎないのです。

シナプス1つあたり、約4.7ビットとする研究結果もある

シナプスが具体的にどの程度の情報を格納できるかについては、科学者たちの間でもまだはっきりとしたコンセンサスはありません。

しかし、ソーク研究所のテリー・セチノフスキー教授が主導する研究チームが行った研究によれば、一つのシナプスが約4.7ビットの情報を格納できると推定されています。

これは、シナプスが単にオン/オフの状態を表すだけでなく、さまざまな強度の信号を伝えることができ、それぞれが異なる情報を表すことができるためです。

この推定を基に、先に述べたレーバー教授の説と組み合わせると、人間の脳全体での記憶容量は単純計算で4.7ペタバイト以上はあるということになります。

シナプス1つあたり約4.7ビットだとすると…

シナプス1つあたり約4.7ビット
ニューロン1つあたり約4.7キロバイト
脳全体約4.7ペタバイト

※これは非常に大まかな推定であり、実際の値は脳の部位やニューロンの種類によります。

それでも、これはあくまでモデルに過ぎないため、絶対的な数値として受け取るべきではありません。

脳の動作は非常に複雑で、シナプスの働きも一部の情報処理にすぎず、他にも多くの要素が脳の情報処理と記憶に関与しているためです。

4.7ペタバイトより、はるかに大きい可能性もある

上記のいずれの推定も非常に単純化されたもので、脳が情報を格納し処理する複雑さを十分に捉えていません。

それに加えて、人間の記憶はコンピュータのデータストレージとは異なり、連想的で非線形的です。

これは、私たちが情報を記憶、再生する方法が単純なバイナリデータの読み書きとは異なることを意味します。

そのため、人間の脳の記憶容量を単純なデジタルストレージの量に換算するのは不適切かもしれません。

人間とPCの記憶の違い①
人間の記憶コンピュータのデータストレージ
情報の作成と整理脳は情報を神経細胞(ニューロン)とそのつながり(シナプス)を通じて化学的・電気的信号として作成・整理します。コンピュータは情報を0と1のバイナリコードという形で作成・整理します。
保存の仕組み記憶はニューロン間のつながりの強さを変えることで形成されます。データは物理的なディスク上、または電子的なメモリチップ上に保存されます。
情報の取り出し記憶の取り出しは、特定の思考パターンや感覚的な入力によって引き起こされます。特定のアドレスを指定することで情報を直接アクセスし取り出します。
容量脳の記憶容量は非常に大きく、長期的には実質的に無制限とされます。ストレージ容量はデバイスの物理的なサイズと技術によって限られています。
永続性記憶は時間とともに変化し、また忘れることもあります。正しく保存され、損傷しない限り、データは永久に残ります。
可塑性学習や経験を通じて脳は進化し、変化します(神経可塑性)。コンピュータのハードウェアは固定されており、一度製造されると変更できません。

以上のような理由から、人間の脳の記憶容量を正確に測定するのは現在の科学ではまだ困難です。

脳のニューロンとシナプスの数、それぞれの接続の複雑さ、さらにはこれらの接続が時間とともにどのように変化するかを考慮すると、脳の実際の「記憶容量」は1ペタバイトよりもはるかに大きい可能性があると言われいます。

現時点で判明している脳の記憶容量に関する研究結果について

短期記憶・長期記憶、それぞれの限界について

人間の脳の記憶容量について考える際、短期記憶と長期記憶の二つの主要なカテゴリーを理解することが重要です。

これらは機能的に大きく異なり、それぞれ異なる役割を果たします。

短期記憶とは?

短期記憶は、情報を一時的に保持し、現在の思考や行動に利用するための記憶です。

例えば、電話番号をダイヤルするときや、計算を行うときに使用します。

短期記憶の容量は非常に限られており、一般的には7項目(プラスマイナス2)の情報を一度に保持することができます。

また、これらの情報は数秒から数分間しか保持されず、再生しない限りは忘れられます。

一時的な記憶とはいえ、短期記憶は一度に7つの事柄までしか記憶できないというのは意外ですね。

短期記憶は非常に限られた容量しか持たず、情報の保持自体も数秒から数分間しかできません。

長期記憶とは?

長期記憶は、時間の経過と共に保持される情報のストレージです。

ここには、過去の経験、知識、技能、感情、感覚など、人生の広範な情報が保存されます。

長期記憶の容量は、実質的に無制限と考えられています。

そして、これらの情報は数分から一生涯にわたって保持されることがあります。

一方、長期記憶は広範な情報を長期間にわたって保持する能力を持っています。

したがって、短期記憶と長期記憶は、保持できる情報の量(容量)とその情報が保持される期間(持続性)の両方で大きく異なるということになります。

脳は情報を特定の場所にバイナリコードとして保存するのではなく、ニューロン間の接続(シナプス)の強度を調節することで情報をエンコードします。

また、脳は新しい情報を学習する過程で、古い記憶を再構成したり、不要な情報を忘れたりすることで「スペース」を作り出します。

人間とPCの記憶の違い②
人間の脳コンピュータ
短期記憶 約7項目(プラスマイナス2)の情報を数秒から数分間保持することができます。現代のPCのRAMは一般的に数ギガバイト(GB)から数百GBの情報を一時的に保持します。電源が切れると情報は消失します。
長期記憶実質的に無制限とされ、情報は数分から一生涯にわたって保持されることがあります。HDDやSSDはテラバイト(TB)単位の情報を長期間保存します。電源が切れても情報は保持されます。
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人間の脳の記憶容量が限界を超えることはある?超えるとどうなる?

繰り返しになりますが、人間の脳が情報を処理し、記憶を形成する方法は、デジタルデバイスがデータを記憶する方法とは大きく異なります。

脳は情報を特定の場所にバイナリコードとして保存するのではなく、ニューロン間の接続、つまりシナプスの強度を調節することで情報をエンコードします。

このため、脳の記憶容量が「いっぱいになる」や「限界を超える」という概念は、コンピュータのハードドライブがいっぱいになるというのとは異なります。

新しい情報を学習する過程で、脳は古い記憶を再構成したり、不要な情報を忘れたりすることで「スペース」を作り出します。

このプロセスは、適応的忘却とも呼ばれ、新しい情報を効率的に学習し、それが既存の重要な情報と衝突しないようにするための重要な機能です。

実際、私たちがすべてを完全に覚えてしまうと、それは逆に問題を引き起こすことがあります。

例えば、すべてを完璧に記憶する超記憶症の人々は、生活において困難を経験することがあります。

彼らは過去の出来事が非常に詳細に思い出されるため、現在と過去が区別しづらくなり、感情的な苦痛を経験することがあります。

それゆえ、人間の脳の記憶容量が「限界を超える」ことは理論的には不可能であり、脳は新しい情報を効率的に統合し、不要な情報を忘却することで情報を管理します。

これは我々が生存し、進化する上で重要な適応的な機能です。

赤ちゃん・成人・老人で記憶できる容量は異なる?

人間の脳の記憶容量については、年齢による直接的な影響は明らかにされていません。

脳の容量は生後数年間でほぼ成人の大きさに成長しますが、これは記憶容量に直接関連するものではありません。

むしろ、脳の成長と発達は、新しいスキルを学び、新しい情報を記憶し、それを取り出す能力に影響を与えます。

新生児の場合

新生児の脳は大人の脳の大きさの約25%しかありませんが、最初の数年間で急速に成長します。

この時期には、新しいシナプス(ニューロン間の接続)が急速に形成され、脳の各部分がどのように機能するかを学びます。

ただし、乳児は新しい情報を記憶する能力が限られています。これは、長期記憶を形成するための脳の部分が完全には発達していないためです。

成人の場合

青少年期に入ると、脳は「シナプティック・プルーニング」と呼ばれるプロセスを経て、使用されないシナプスを削除し、必要なものを強化します。これにより、脳はより効率的になります。

成人の脳は、新しい情報を効率的に記憶し、必要なときに取り出すことができます。

高齢者の場合

加齢とともに、一部の人々は記憶力の低下を経験します。これは一部の脳の領域、特にヒッポカンパス(新しい記憶を形成するために重要な領域)が萎縮する可能性があるためです。

ただし、これはすべての人に当てはまるわけではなく、健康的なライフスタイルや継続的な学習といった要素が記憶力を維持するのに役立つことが示されています。

したがって、記憶容量が年齢によって直接的に変わるわけではなく、むしろ記憶の形成、保持、取り出しの能力が年齢とともに変化するという観点から理解することが重要です。

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今回のまとめ

以上のように、人間の脳の記憶容量は驚異的な1〜4.7ペタバイトと推定されています。

それは2000年分の映画やコンピュータのハードディスク50台分に相当する情報を、私たちが毎日経験する感情や思考、記憶として脳内に格納する能力を意味します。

しかし、この数値はただの一面で、脳は単に情報を保存するだけでなく、それらを解析し、結びつけ、新たな発見や学習に活用するという複雑な作業を行っています。

この驚きの世界には、まだまだ未知の領域が広がっています。

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