今回は、面白い実験の話をしたいと思います.
イエール大学で行われた、オマキザルを使った実験です。
オマキザルは、人間に近い社会性(グループ)をつくることが知られている生物です。
どんな実験なのかというと、
サルに貨幣を与えると、どうなるか?
というものです。
「トークン」と名付けた50円玉のような硬貨を与えて、サルの社会にどのような変化が起きるかを観察しました。
①貨幣という概念を理解する
トークンを持つオマキザルが来た時に、いろんな食べ物と交換してあげたそうです。
すると、サルはあっという間に貨幣という概念を理解しました。
最初のうちはトークン1枚でりんご1切れ、ぶどう一粒というような交換率で実験していましたが、時間を決めてバーゲンセールというものを行いました。
具体的には、トークン1枚でりんご2切れもらえるというものです。
トークン1枚 ⇔ リンゴ1切れ |
トークン1枚 ⇔ ブドウ1粒 |
↓
トークン1枚 ⇔ リンゴ2切れ |
トークン1枚 ⇔ ブドウ1粒 |
すると、あっという間にサルは列をなして、リンゴばかり欲しがるようになります。
トークンの交換率が違うことによって、サルは損得感情を理解したのです。
②ビジネスを始める
貨幣の意味を理解したオマキザルは、ついにビジネスまで始めました。
オスがメスに交尾しようとして近づくと、メスはオスの持っているトークンを確認します。
それに気付いたオスは、メスにトークンを渡してセックスをさせてもらう…というようなやり取りまで始めました。
また別のオマキザルは、スライスしたキュウリを一生懸命噛んで真ん中に穴を開け始めます。
キュウリの断面は光っていて、形もトークンに似ています。
つまり、偽造貨幣を造ろうとしたのです。
③サルの社会が崩壊する
このオナガザルの実験によって、これまで「これは人類特有だ」と思われていたような行為というのは、オマキザルの社会でもあっという間に流行ることが分かります。
ただし貨幣を与えたことで、オマキザルの社会はすごい勢いで崩壊してしまったそうです。
オスとメスが交尾相手を見つけてもうまくいかなくなったり。
貨幣を盗んだり盗まれたりで争いが絶えなくなったり。
つまり、野生のオナガザルの社会性が、貨幣という概念により破壊されたのです。
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