楽曲について
1999年リリースの超有名曲です。
『ゲリラ・レディオ』というタイトルは知らなくても、曲自体は聴いたことがある人は多いハズ。
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンはヘヴィメタルとラップを融合させたいわゆる、ミクスチャーロックのバンドです。
レイジのサウンドには、明確なオリジナリティがあります。
ヘヴィメタルといっても、ギターをピロピロ系ではなく、ドシンッと重たいサウンド&ヒップホップ的なグルーヴ感を際立たせた曲が多いです。
ヒップホップのビートのように、ループし続けるリフは他のバンドにはないトリッキーさが溢れている感じというか。
かと言って、ヒップホップ的な音かと問われるとそうでもなく、やはり「ヘヴィメタルとヒップホップが融合した音」と言わざるを得ません。
二つの音楽ジャンルを融合させた結果、どちらとも異なる全く別のサウンドが生み出されたような印象です。
生身の人間、しかも屈曲な男達によるループサウンドはやはり力強さが違いますね。
ドラマーなんて、頭振り乱しながら一心不乱に…なんて叩き方ではないのですが、もはやドラムぶっ壊す勢いでスティックを打ち付けています。「ツタンッ」ではなく「ッバンッ!」って感じの切れ味鋭いドラム音です。
どの曲もベースの低音ゴリゴリなのですが、例に漏れずこの曲でも低音効きまくり。
ギターは言わずもがな、超絶変態技巧派のトム・モレロ。ジミ・ヘンドリックス寄りの非常に珍しい音を奏でます。
ソロパートなんか摩訶不思議過ぎて、宇宙人と交信してるかのようなサウンドです。
これは革命の歌です。
これは観念的な意味で言っているわけではなく、実際に政治色バリバリなのです。
歌詞の内容的には、既存の政治システムへの反抗と怒りを訴えています。
伝えたいメッセージの内容と、ヴォーカルのザック・デ・ラ・ロッチャのキンキンというかカンカンというか…金属的な響きのある声質がとてもマッチしています。
それにしても、ザック・デ・ラ・ロッチャってすごい名前ですね。本名みたいですが、ナチョ・リブレみたいですごくカッコイイと思います。
ザックのキーの高い声で、主張したいことを文字通り「叫ぶ」ので強烈なインパクトがあります。
『ゲリラレディオ』を聴いていて心動かされるのは、テンションを抑えるところは抑え、終盤に向けて溜め込んだモノを一気に開放している様がありありと伝わってくるところです。
ある地点で革命の火種が上がり、静かにそれが燃え広がっていく―。
怒れる群衆のデモ行進は、もう誰にも止められないほどに膨張―。
いよいよ民衆の怒りは爆発し、暴動に至る―。
不協和音を立てて既存のシステムが崩れ行く―。
そんなストーリーが想起させられる楽曲です。自分はその様子を上空から俯瞰で眺めている気分になります。
既存政治打倒を扇動している彼らのスタイルは決してメインストリームにはなりえなかったはずなのですが、今なおとても人気のあるバンドです。
なぜか?
楽曲自体がとても素晴らしいからです。
今回紹介したゲリラレディオについても、人の心を突き動かすパワーが曲の中に満ちています。
このスタイルでなおかつカッコいいバンドは、日本では多分生まれないでしょう。
このスタイルが受け入れられるアメリカという国だからこそ誕生したバンドです。
アーティスト情報
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)は、アメリカ合衆国のロックバンド。 1990年にカリフォルニア州ロサンゼルスで結成された。英語圏ではRATM、日本においてはレイジという略称で呼ばれる。
「レッド・ツェッペリンとパブリック・エナミーの融合」と呼ばれる特徴的なサウンドと、マルコムX、チェ・ゲバラ、マーチン・ルーサー・キング・ジュニアなどから思想的影響を受けた政治メッセージを持つ歌詞が特徴。
2000年に解散したが、2007年に再結成し、2011年のライブ以降は再び活動を休止している(2018年現在)。
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