楽曲について
STUTSのサウンドとPUNPEEのリリックが良い意味で化学反応したこの楽曲は何回でも聞きたくなるような魅力を持っています。夜のドライブなんかにとてもよく似合う音楽です。
パンピーって最初の頃は何となく嫌いでした。『水曜日のダウンタウン』でこじゃれたラップをするセルアウト野郎って勝手なイメージを抱いていました。
しかし、その認識を改めさせられたのがこの楽曲です。彼の有り余る才能がいかんなく発揮されている作品だと思います。東京の週末の夜の情景が浮かぶリリックにはパンピー独自のエッセンスが散りばめられています。
この楽曲で描いているのはタイトルの『夜を使いはたして』の通り、週末の夜から早朝までの時間帯についてなのですが、情景描写が素晴らしい。
「フィルムみたいな朝もやが、デジタル化された街を静かに浄化してく。」
「朝を使い果たそう。太極拳のじじいがむっくり起きるその前に。」
なんてくだりは凄いなーなんて感心してしまいます。パンピーの書くリリックはオラオラ系のラッパーにはない知的さがありながら、少し子供っぽさのあるユーモアも入れ込んでいる独自のスタイルだと思います。リア充とオタク系の間みたいなリリックというか。パンピーという名前は自分を客観的にとらえることができる彼だからこそ付けられた名前だと思います。
もちろんヒップホップならではのサンプリングもこの曲には落とし込まれています。ブッダブランドの 『Don’t Test da Master』や、ソウルスクリームのアルバム名にちなんだリリックが気付く人には気付くように隠されています。
パンピーの作品の特徴はフック(サビ)が独特で魅力的なことなのですが、この曲に関してもメロディアスな最高のフックに仕上がっていると思います。
MVの世界観は、パンピーがアーティストを引退してから20年後のとある日が舞台になります。
引退直後の冬の時代を経て、おっさんになったパンピーが夜の街に繰り出し若者たちの仲間に入れてもらってはっちゃける、という言葉で表現するとよくわからない内容になっています。
おじさんが若者と同じように振舞おうとする様はユーモラスながら少し切なさも漂わせます。ちなみにおっさんパンピー役の役者さんは彼の父親だそうです。どおりで似てる(笑)
アウトロで流れる山手線のアナウンスも含めてとてもいいMVだと思います。
STUTSのトラックも歌詞の世界観と絶妙にマッチしています。オシャレでキラキラした曲調は、夜の街のきらびやかな灯りや、朝焼けのまぶしい太陽の光を上手く表現していると思います。
STUTSに関してはこの作品以外知らなかったのですが、作風は落ち着いた大人っぽいサウンドのものが多いですね。こちらもセンスのあるアーティストです。
アーティスト情報
STUTS
STUTS(スタッツ)は日本のトラックメーカー、音楽プロデューサー、MPCプレイヤー。 国内外でのライブ活動を中心に、自身の作品や楽曲プロデュース、CM音楽制作等の楽曲制作を行っている。
【出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/STUTS】
PUNPEE
PUNPEE(パンピー)は日本のヒップホップMC、トラックメーカー、DJ、シンガー、サウンドエンジニアである。学生時代の同級生GAPPERと実弟S.L.A.C.K.(5lack)の3人からなるヒップホップユニットPSGや地元の友達である原島”ど真ん中”宙芳とのDJコンビ板橋兄弟としても活動。
【出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/PUNPEE】
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