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真理は本当に存在するのか?哲学者デカルトは、こう答えた。

【15秒でわかる】デカルトとは?

1596年〜1650年

出身地:フランス-ラ・エー

合理主義哲学のパイオニア的存在。

少年時代は病弱ながら、あらゆる分野の学問を吸収し続ける。とりわけ数学を好んだ。

学校卒業とともにそれまで読んでいた本を捨て、「世間という大きな書物」を知るための旅に出る。

軍隊に入隊したり、数学者として功績を上げたのちに、「自己の使命」として32歳で本格的に哲学にとりかかる。

画像出典:Wikipedia

目次

デカルトさんの回答は…

世の中の全てを疑っても、それを「疑っている自分」だけは絶対に疑うことができない。

コギト・エルゴ・スム

〜回答についての解説〜

ソクラテスの意志を受け継ぎ、多くの哲学者が真理を探究するも中々見つけることが出来ません。

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ソクラテスの死後から2000年以上経っても、真理に続く糸口すら見えてこないのです。

2000年かけても終わらない宿題

2000年間に渡って哲学を停滞させた犯人とは?

なぜここまでの時間がかかってしまったのか?

大きな理由として、キリスト教が西洋を支配する時代が長く続いたことが挙げられます。

キリスト教父

人間は理性だけでは真理にたどり着くことは出来ません。神への信仰こそが必要なのです。

この場合の神とは、もちろんキリスト教における神のことを指します。

素人でも「じゃあ、異教徒の存在はどうなるの?その考えおかしくない?」と思ってしまうほどガバガバな理論ですが、当時優先されるべきは理性よりも信仰でした。

このように、哲学にとって、さらには数学や科学といった学問にとっても不遇の時代がかなり長く続きました。

信仰から理性へ。時代の大きな転機となる「ルネサンス」と「宗教改革」とは?

しかし「信仰重視」の時代に取って代わり、「理性重視」の時代が再び訪れることとなります。そのキッカケは、以下の2つの出来事です。

ルネサンス

古代ギリシャ・ローマ時代の古典や美術を尊重しようという文化運動

宗教改革

教会が免罪符を売りさばいて儲けるのをやめるべきだという宗教運動

これらにより、キリスト教の権威は次第に弱まります。この時代において、真理に迫りつつあったのがデカルトです。

彼は哲学者であると同時に、優れた数学者でもありました。

X軸Y軸の二次元座標はデカルトの発明

それまで長らく日の目を見ることのなかった哲学と数学という2つの学問。

両者に精通するデカルトの快進撃は、まさに時代が彼を選んだかのようです。

優れた数学者でもあった、デカルトの画期的なアイデアが凄い!

彼は数学的アプローチから真理を掴もうとします。

ざっくり言うと数学とは、絶対に正しいとされるいくつかの前提から出発して、別の論理的に正しいものを導き出していく学問です。

●絶対に正しいとされる前提=公理

●別の論理的に正しいもの=定理

公理を組み合わせることで、「定理」を導き出すことが出来ます。

さらに、定理同士を組み合わせることでも、新しい定理が出来たりします。

公理を出発点として、定理を連鎖的に導くことができるというわけです。

全ての定理は、「公理」から出来ている。

この「公理さえ決めてしまえばそこから発展していく」という数学的体系をデカルトは哲学にも応用しようとしたのです。

絶対に正しいと認めざるを得ない「公理」を設定して、そこから結論を導き出そう。

公理さえ決めてしまえば、いずれは誰もが同じ結論に辿り着けるようになるはずです。

どのルートから登っても、最後はみんな頂上(結論)にたどり着く。

結論とは、つまり真理―。それも相対主義のような人それぞれの真理ではなく、万人に共通するような唯一無二の真理です。

とにかく全てを疑いまくる!デカルトの「方法的懐疑」とは何なのか?

このアイデア自体はとんでもなく素晴らしいのですが、問題が1つだけあります。

それは、絶対に間違えのない「公理」を見つけ出さなければならないということ。

そんなもの、どうやって見つけ出せばいいのでしょうか?

デカルトは「確実に正しいもの」を探すのではなく、「全てを疑いまくる」という作戦に出ました。これを【方法的懐疑】といいます。

疑って、疑っても、それでも疑えないものがあるとするならば…それが公理となる。

そして彼はあらゆるものを疑いました。

  • 目の前の現実
  • 身の回りのあらゆる物体

これらは私達が認識しているつもりでも、長らく醒めない夢を見ているだけかもしれません。

悪意のある悪霊が私たちに幻覚を見せている可能性だってゼロではありません。

これらは本当にデカルトが考えたことです。

ついにデカルトは「絶対に正しいもの」を発見した!

徹底して懐疑を続けた結果、人が認識しうるであろう存在や概念は全て否定され尽くしてしまいます。

「もはや、ここまでか…」そう思っていた時、あるヒラメキが脳裏をよぎります!

この世の全ては「嘘ではないか?」と疑うことが出来てしまう…

だが、あらゆるものを疑ったとしても…

それを「疑っている私」という存在だけは疑えないのではないだろうか…キタコレ!!

コイツは一体何を言っているんでしょうか?

解説すると…「疑っている私」がいることを疑ってみても、そこには「疑っている私」がいて、それすらも疑ってみようとしても、やっぱりそこには「疑っている私」がいる…という状態が無限に続くわけです。

結果として、どんな懐疑にも耐えられるのはあらゆるものを「疑っているデカルト自身」だったというオチです。

こうしてデカルトは、ついに哲学の公理にあたる「絶対に正しい真理」を導き出すことに成功したのです。

偉大なるヒラメキに気を良くしたのか、彼はなんとか名言をひねり出そうとします。

コギト・エルゴ・スム(我思う、故に我あり)

アタマ引っ叩きたくなりますね。

デカルトの答え

世の中の全てを疑っても、それを「疑っている自分」だけは絶対に疑うことができない。

「疑っている私」という存在だけは、疑いようのない確実なものである。

次回予告:経験論の完成形!ュームは、デカルトも神様も科学も信じない。

唯一確実な真理を導き出すことに成功したデカルト。

しかし、彼の最終的な結論は哲学界全体から大バッシングを喰らってしまう。

泣きっ面に蜂、とばかりに【イギリス経験論】のヒュームによる無慈悲な攻撃が…。

懐疑を武器に、あらゆるものを破壊し尽くすヒューム。

ついに彼は、それまでのタブーであった領域にまで懐疑の眼差しを向ける!

次回、『経験論の完成形!ヒュームは、デカルトも神様も科学も信じない。』乞うご期待!!

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