この方法は一般的なインターネット回線よりも通信速度が遅くなる、Wi-Fiが繋がりづらくなる可能性があります。
導入にあたっては、これらのリスクを理解した上で検討することをおすすめします。
楽天モバイルの固定回線化とは?
楽天モバイル固定回線化とは、楽天モバイルの契約回線を自宅のインターネット回線に利用することです。
この手の話題に詳しい人なら聞いたことがあるかもしれませんが、一般的にはあまり知られていない裏ワザ的なテクニックです。
この方法を使えば、月々のインターネット料金を20~30%ほど節約することができます。
一応言っておきますが、もちろん合法です。
楽天モバイルの規約違反などにもあたりませんので、その点はご安心を。
ざっくりまとめると手順は3ステップです。
楽天モバイル固定回線化のやり方
①楽天モバイルの「最強プラン」を契約し、SIMカードを手に入れる。
②楽天モバイル対応のWi-Fiルーターを用意する。
③ルーターにSIMをセットし、自宅のWi-Fiとして使えるように設定する。
具体的なやり方は下記リンクをクリック⇩
「固定回線化」というと難しそうなイメージですが、こう見ると意外に簡単そうな気もします。
とはいいつつ、この説明だけではイマイチよく分からないと思いますので…
ここからは「楽天モバイル固定回線化」の要点について解説していきます。
まずは、楽天モバイル固定化のイメージをつかもう
一般的なインターネット回線と何が違うのか?
まずは一般的なインターネット回線との違いです。
自宅のネット回線は、光回線などの固定専用回線を利用するのが一般的です。
光ケーブルを利用して、インターネットに接続する
この方式は、電柱から自宅に光ファイバーケーブルを引き込みます。
工事が必要ですが、通信の速度・安定性ともに優れます。
これに対して、楽天モバイル固定回線化ではスマホ(モバイル端末)用の電波を用います。
楽天モバイルの電波を、自宅のネット回線として利用する
光回線のようにケーブルを引き込むのではなく、空中を漂っている電波を拾う方式です。
工事は要らないですが、電波がない場所では利用できません。
まとめると、光回線との違いは「光ケーブルではなく、スマホ用の電波を利用する」ということになります。
仕組み的には「ホームルーター」「モバイルWi-Fi」と同じ
スマホの電波を自宅のネット回線に利用するのはそれほど珍しいことでもなく、似たようなサービスが従来から存在しています。
たとえば、「ホームルーター(置くだけWi-Fi)」です。
自宅のコンセントに繋いで、かんたん設定で使い始められる手軽さがウケています。
各通信会社の電波を拾えるWi-Fiルーターを自宅に設置する方式
代表例:WiMAX(ワイマックス)、ソフトバンクエアーなど
メリットは回線工事が不要なこと、ルーターが届いたらすぐに利用できることです。
配線も電源ケーブルだけなので、光回線のようにゴチャゴチャしません。
また自宅以外でも使えるサービスとして、「モバイルWi-Fi(ポケットWi-Fi)」というものもあります。
小型ルーターで持ち運べるのが特徴
代表例:GMOとくとくBB WiMAX、UQ WiMAXなど
電波がある場所ならどこでも使える、使い勝手の良さが魅力です。
バッテリーが搭載されているため、屋外などコンセントの無い場所でも利用することができます。
どちらのサービスも携帯の電波をルーターで拾うというものですが、楽天モバイル固定回線化もこれらと同じ仕組みを用いています。
楽天モバイル以外でも固定回線化はできる
モバイル回線が自宅のネット環境に使えるのは、なにも楽天モバイルに限った話ではありません。
ドコモ・au・ソフトバンクなどの大手キャリアの回線でも、ワイモバイル・UQモバイル・マイネオといった格安SIM(MVNO)でも同じことができます。
つまりSIM対応ルーターさえあれば、どの会社の回線であっても固定回線化は可能です。
近年は各社から、固定回線にも使えそうな大容量プランが打ち出されています。
それぞれに特徴があるので、プラン内容を見比べながら検討してみても良いでしょう。
ちなみにSIMカードは「通話+データ通信」「データ通信のみ」のどちらでも使えます。
テザリングを使えば、ルーター無しでもネット環境がつくれる
本記事では(快適性の観点から)Wi-Fiルーターを用いる方法を紹介していますが、スマホの「テザリング機能」を使うという手もあります。
テザリングとは、スマートフォンをモバイルルーターのように利用できる機能です。
この機能を使えば、ルーターがなくても自宅のパソコンやタブレットなどをインターネットに接続することができます。
もちろん、ルーターを用いる場合と比較すると不便な点はいくつかあります。
▼通信速度が遅い
スマホのアンテナはWi-Fiルーターのアンテナよりも性能が低い
▼有効範囲が狭い
(別室など)離れた場所の端末と接続したときに、途切れる可能性がある
▼バッテリーを食う
テザリングを有効にすると、スマホのバッテリーが消費が激しくなる
速度が遅い・不安定といっても、PCやタブレットを単体で接続するくらいなら、あまり不都合を感じないかもしれません。
このテザリング運用だけで事足りるのであれば、自宅の固定回線を解約してネット料金を丸々浮かせることもできます。
固定回線化にルーターを使うのはあくまで一つの手段に過ぎないため、自宅でスマホ以外はあまり使わないという人なら、「スマホ+テザリング運用」という選択肢を検討してみるのもアリです。
数ある選択肢から、楽天モバイルを選ぶ意味はあるのか?
それでは一旦、ここまでのまとめをしておきしょう。
自宅のインターネット回線には、大きく分けて3つの選択肢があります。
1つめの選択肢は「光回線」で国内シェアの約8割を占めます。
自宅のインターネット回線のシェア
第1位 | 光回線 | 78.3% |
第2位 | モバイルWi-Fi | 13.1% |
第3位 | ホームルーター | 8.6% |
出典:総務省『令和3年版 情報通信白書』
ただし、ケーブルを自宅に引き込む工事が必要となるなど、いくつか不便な点もあります。
通信速度が早い
複数接続でも安定
速度制限がない
障害物の影響を受けにくい
使い始めるまでに日数がかかる
引っ越し手続きが面倒
解約費用が高額になりがち
配線がごちゃつく
これらのデメリットを解消した第2の選択肢が、「ホームルーター」「モバイルWi-Fi」です。
これらはスマホの電波を利用するため、より手軽にインターネットを楽しむことができます。
工事不要で使い始めまでスピーディー
電源コードのみで配線スッキリ
使い始めの設定がカンタン
モバイルルーターなら出先でも使える
通信速度が出にくい
使い過ぎると速度制限がかかる
障害物の影響を受けやすい
モバイルルーターはアンテナ性能が低い
「楽天モバイル固定回線化」は、スマホ向けのプランを固定回線に転用するという第3の選択肢です。
仕組みはホームルーターやモバイルWi-Fiと同様、携帯電話用の電波を利用します。
楽天モバイルだけでなく、大手キャリアや格安SIM各社のモバイル回線にも応用できます。
SIM対応のWi-Fiルーターを使う方法がおすすめですが、思い切ってテザリング運用(固定回線は廃止)するという方法もあります。
・楽天モバイルの電波を自宅のインターネット回線として使うこと
・仕組みは「ホームルーター」「モバイルWi-Fi」などと同じ
・必要なものはSIMカードとWi-Fiルーター、回線工事は不要
・光回線と比べて通信速度は劣るが、料金を安く抑えられる
・楽天モバイル以外の各社回線でも同じことができる
…と、ここまでが楽天モバイル固定回線化の基本的なポイントになります。
ただ、ここまで読んだ人の中には、以下のような疑問を持った方もいるかもしれません。
Q.なぜ、数ある選択肢の中から「楽天モバイル」なのか?
たしかに、インターネット固定回線を取り扱う会社は日本国内にたくさんあります。
これに(楽天モバイルを含む)スマホ通信事業者も加えると、選択肢はさらに膨大な数になります。
Q.日本国内のインターネット通信事業者の数はどれぐらい?
A.全ての方式を合わせると、その数は3000社以上にもなります。
光回線 | 1,100社以上 |
モバイルWi-Fi | 400社以上 |
ホームルーター | 500社以上 |
携帯電話(スマホ) | 1,000社以上 |
合計 | 3,000社以上 |
出典:総務省『令和5年版 情報通信白書』
一方、楽天モバイルはドコモ・au・ソフトバンクに次いで登場した携帯キャリアで、この分野ではかなり後発です。
大手3社と比べてアンテナの数(対応エリア)はまだ充分とはいえませんし、通信速度も若干劣るようです。
最近のニュースでは数千億円規模の赤字損失を出したり、ホリエモンを始めとする各方面からディスられたりと、あまり良い評判も聞きません。
そんなわけで、この無数の選択肢を少し調べれば、楽天モバイルよりも良さそうなプランは、案外すぐに見付けられそうな気がします。
この疑問に対するアンサーとして、ここからは「楽天モバイルを自宅のインターネット回線として使うメリット」について解説していきます。
楽天モバイルで固定回線化をするメリットがコレだ!
メリット①:月々2,980円でデータ使い放題(データ量に応じて、さらに割引きアリ)
楽天モバイルの『最強プラン』は、データ無制限で月額料金2,980円(税込3,278円)です。
データ無制限のスマホプランは現時点で、コレとドコモの『eximo(エクシモ)』の2つしかありませんが、月額料金は楽天モバイルが断トツに安いです。
スマホ無制限プランの料金比較
ドコモ eximо | 月額7,315円 |
楽天モバイル 最強プラン | 月額3,278円 |
→楽天モバイルのほうが月々4,000円ほど安い
スマホプランとしてのコスパはかなり高いですが、インターネット料金としてみた場合でも間違いなく最安クラスといえます。
光回線の料金相場 |
戸建て:月額約5,500〜6,000円ほど マンション:月額4,000〜5,000円ほど (いずれも税抜き) |
楽天モバイル・最強プラン |
月額2,980円(税抜き) |
楽天モバイルの方が年間12,000〜36,000円ほどお得!
ホームルーターの料金相場 |
月額約3,500〜5,000円ほど (いずれも税抜き) |
楽天モバイル・最強プラン |
月額2,980円(税抜き) |
楽天モバイルの方が年間6,000〜24,000円ほどお得!
モバイルWi-Fiの料金相場 |
月額約3,500〜4,500円ほど (いずれも税抜き) |
楽天モバイル・最強プラン |
月額2,980円(税抜き) |
楽天モバイルの方が年間6,000〜18,000円ほどお得!
この『最強プラン』は「データ使用量が少なければ、料金が更に安くなる」というのもポイントです。
●1ヶ月の通信量が20GB以下だと…
→月額料金は1,980円(税込2,178円)
●1ヶ月の通信量が3GB以下だと…
→月額料金は980円(税込1,078円)
このように、月々のデータ量が少ない家庭では、さらに低料金で利用することができます。
メリット②:他社のような速度制限がなく、ギガ縛りを気にせず使える
「データ通信無制限で月額3000円」というプランは確かに安いですが、モバイルWi-Fiだとぶっちゃけ似たような料金のサービスはいくつか存在します。
これらと比較して、「楽天モバイルって、そこまで安くないじゃん」という印象を抱く人もいるかもしれません。
ただし、楽天モバイルの『最強プラン』は「速度制限がない」という大きなアドバンテージを持っています。
スマホの通信制限とは、通信事業者が定めたデータ通信量の上限を超えた場合に、通信速度が低下する仕組みのことです。
スマホの通信制限とは、通信事業者が定めたデータ通信量の上限を超えた場合に、通信速度が低下する仕組みのことです。
通信制限の目的は、特定のユーザーが使い過ぎて回線速度が全体的に遅くなることを避けるためです。
速度制限がかかると通信速度は通常の1/100前後まで急激に低下しますので、動画など重いデータはもちろん、Webサイトの閲覧など低容量通信でさえもスムーズに利用できなくなってしまいます。
これは光回線以外の方式における大きなデメリットで、ユーザーにとってはかなりのストレスにつながります。
速度制限がかかる条件は事業者によって異なりますが、「3日間のデータ使用量が10〜15GBを超えたとき」に適用されることが多いです。
ただ、楽天モバイルにおいては、このような速度制限の縛りは存在しないようです。
公式サイトでも「公平なサービス提供または環境により速度低下する場合あり」という注意書きこそありますが、速度制限についての具体的な記載はありません。
今後も同様の運用が続くかは不明です。また、海外で高速通信が使えるのは2GB/月までとなります。(容量超過後は128kbpsまで速度低下)
以前は1日に10GBを超えたユーザーに対して、通信速度を3Mbpsに(当日24時まで)制限していたようですが、このような運用は2023年10月時点で撤廃されています。
この「1日10GB縛りの廃止」は公式なアナウンスではありませんが、多くのユーザーが検証を行った結果をみるとどうやらガチのようです。
さらに、2023年6月以降はパートナー回線についても「1日に5GB」という縛りが無くなりました。
これにより現在、楽天モバイルは自社回線・他社パートナー回線問わず、速度制限ナシで利用できるようになっています。
パートナー回線とは、自社回線が届かないエリアで他社の回線を借りて利用するサービスです。楽天モバイルの場合はauがパートナー回線となります。
2024年1月現在、楽天モバイルと同じようにデータ無制限かつ速度制限ナシのインターネット回線を提供しているのは、UQコミュニケーションズが提供するWiMAXしかありません。
ただし、現時点で最安プロバイダとなる「GMOとくとくBB」と比較しても、楽天モバイルの料金の方が安いです。
GMOとくとくBB |
実質月額※3,984円(税込み) |
楽天モバイル・最強プラン |
月額3,278円(税込み) |
楽天モバイルの方が年間8,472円お得!
このように、データ量や通信制限を気にせず使える楽天モバイルは、固定回線化と非常に相性の良いプランであるといえます。
※2024年1月時点
メリット③:工事不要、手数料タダなので導入しやすい(やめるのもカンタン)
楽天モバイル固定回線化は工事不要で、各種手数料も掛からないため、気軽に始めやすいです。
利用期間などの縛りもないので、「イマイチだな」と思ったらいつでも契約をやめることもできます。
回線工事が不要
光回線の場合は申込みから利用開始まで、おおむね1〜3週間ほど掛かってしまいます。
自宅に配線を引き込むための工事が必要なので、工事の立会だったり日程の調整をしたり、手間もとられます。
一方、楽天モバイルの場合は回線工事が不要で、手続きについても全てインターネット上で完結させることができます。
オンライン上で手続きする場合、最短2日で利用を開始することができます。
e-SIM対応のWi-Fiルーターをあらかじめ用意しておけば、最短即日で利用することも可能です。
手続きに関して不安な点があれば、全国にある実店舗でスタッフのアドバイスを受けながら進めることもできます。
申し込みから利用開始までの期間も、光回線では考えられないほどスピーディーです。
●オンライン(インターネット)で申し込む場合
最短2日で利用可能(e-SIMの場合は即日利用可能)
●楽天モバイルショップ(店舗)で申し込む場合
最短即日から利用可能
●電話で申し込む場合
最短2日で利用可能
また、回線工事を必要としないため引っ越しをするときもラクです。
Wi-Fiルーターさえ持って行けば、その日から引っ越し先でインターネットが使えます。
モバイルルーターなら出張や旅行先などにも持って行くことだって出来ます。
このフットワークの軽さは、賃貸住宅に住んでいる人や、転勤や引っ越しの可能性がある人には嬉しい魅力といえるでしょう。
契約にかかる各種手数料がタダ
楽天モバイルは、契約時にかかる「契約事務手数料」が無料です。
“2年縛り”といったような契約(最低利用)期間も設けられていないため、いつ辞めたとしても契約解除料(違約金)が掛かりません。
1年以内の解約かつ、利用実態がない場合は980円(税込1,078円)の解約事務手数料を請求される可能性があります。
※通常の利用方法であれば契約解除料(解約事務手数料)は発生することはないそうです。
工事費用も掛からないので、仮に加入後すぐに解約したとしても数万円の残債をドカンと請求されることもありません。
●契約事務手数料
・光回線の相場…800~3,300円程度※1
・モバイル回線の相場…3,850円程度※2
→楽天モバイルなら無料(0円)
●開通工事費
・光回線の相場…戸建て19,800円、マンション16,500円程度※5
→楽天モバイルなら無料(0円)
●契約解除料(違約金)
・光回線の相場…月額基本料金の1ヶ月分程度※3
・モバイル回線の相場…1,000円程度※2
→楽天モバイルなら無料(0円)
●撤去工事費
・光回線の相場…10,000~30,000円程度※6
→楽天モバイルなら無料(0円)
※1…新規、乗換問わず。参考:ソーネット
※2…新規、乗換問わず。参考:ノジマ
※3…更新月もしくは最低契約期間満了後であれば不要。参考:ソーネット
※4…当月・翌月・翌々月の解約であれば不要。参考:しむぐらし
※5…土日や祝日の工事は割増料金がかかる場合あり。参考:ソーネット
※6…転用や事業者変更の場合は不要。参考:ソーネット
また楽天モバイルでは現在、自社製のモバイルルーターを「1円」で購入できるキャンペーンを行っています。
コレを利用すれば、固定回線化に必要なWi-Fiルーターを別に用意(購入)する必要がありません。
このルーターについても契約期間の縛りがなく、仮にすぐ契約を解除したとしても代金を請求されたり、返品を求められたりといった煩わしさとは無縁です。
さほど性能の高いルーターではなさそうですが「とりあえず固定回線化を試してみたい」という人にはピッタリですし、本格的なルーターを購入するまでの繋ぎとして利用することができます。
ここが注意!楽天モバイルで固定回線化をするデメリットについて
デメリット①:光回線からの乗り換えだと、通信速度が遅くなる可能性が高い
あなたがいま使っているのが光回線なら、楽天モバイルへの乗り換えでネットが重くなる可能性が高いです。
これは楽天モバイルに限らず、モバイル回線を使う方式全般にいえるデメリットですが、通信速度はどうやっても光回線には敵いません。
実際、ユーザー投稿型の速度測定サイトの情報を比較してみると、両者には大きな開きがあることがわかります。
●光回線の平均速度は359.27Mbps(下り)
✓通信速度が早く快適に使える
✓同時接続でも安定している
✓障害物や電磁波の影響を受けにくい
✓仕事・趣味問わずあらゆる用途で使える
●楽天モバイルの平均速度は109.02Mbps(下り)
×エリアや回線状況により、速度が大きく低下する
×障害物や電磁波の影響を受けやすい
×同時接続で不安定になることがある
×電波が良くても速度は遅い傾向にある
楽天モバイルの通信速度は4G・5G回線をひっくるめての数値なので、住んでいるエリアが4Gにしか対応していない場合は、上記の速度よりもさらに遅くなる可能性もあります。
4G回線は1〜2人程度の世帯なら問題なく使えるかも知れませんが、家族みんながネットをガンガン使うような家庭にはあまり向いていません。
逆に、自分の住んでいる地域が5G対応の場合は平均値よりも速くなる可能性があるため、複数台の同時接続でも快適に使えるかもしれません。
ただし、5G回線についてはアンテナ1つあたりでカバーできる範囲が狭いため、安定した高速通信を行うためにはアンテナの数がモノをいいます。
楽天モバイルでは5G対応エリアを順次拡大中ですが、まだまだ充分とはいえない状況です。
各キャリアの基地局(アンテナ)数について
4G/LTE | 5G | |
ドコモ | 261,756 | 30,899 |
au | 195,565 | 51,968 |
ソフトバンク | 175,333 | 65,366 |
楽天モバイル | 59,767 | 21,593 |
→4G・5Gともに楽天モバイルが最下位…
※総務省が発表した2023年度のデータ
楽天モバイルを検討する際は、まず「自分の住んでいる地域が4Gエリアなのか、5Gなのか?」を確認しておくことをおすすめします。
通信速度はアンテナの数(密度)にも依存しますので、地方や郊外に住んでいる人は思った以上に速度が出ないかもしれません。
固定回線化を行う場合は、現在契約している光回線を安易に解約せず、しばらくの間はお試し契約で様子見をするのが得策といえます。
デメリット②:モバイル回線(特に楽天モバイル)は、自宅の中まで電波が届きにくい
携帯電話の電波は、障害物や電磁波の影響を受けやすいという弱点があります。
理論上はモバイル回線でも光回線に匹敵するほどの高速通信が可能なはずですが、これらが阻害要因となり実際の速度は1/30〜1/100ほどしか出ません。
理論上の最大速度 | 実際の平均速度(※) |
1000Mbps (1Gbps) | 31.2Mbps |
→実際は1/30ほどの速度しか出ない…
理論上の最大速度 | 実際の平均速度(※) |
10000Mbps (10Gbps) | 100.7Mbps |
→実際は1/100ほどの速度しか出ない…
※2023年7月にICT総研が実施した山手線の4G通信速度実測調査より
それに対し、光回線では通信ケーブルを自宅の中まで引き込む方式であるため、そこまで電波障害を気にする必要はありません。
このように、(4G・5G問わず)モバイル回線は光回線と比べて、建物の造りや室内の状況に左右されやすいといえます。
たとえば、鉄筋コンクリートのマンションなどは、木造の建物にくらべて電波が室内まで届きにくいです。
また、電子レンジなど電磁波を多く発する電化製品が近くにある場合は電波干渉も起きてしまいます。
さらに、自宅の周りに背の高い建物があったり、近くに池や川があったり、雨や雪といった悪天候も通信速度に影響を及ぼす一因となります。
特に楽天モバイルの回線は、大手キャリアの回線に比べて障害物や電磁波の影響を受けやすいといわれています。
理由として、楽天モバイルでは「プラチナバンド」の整備が進んでいないことが挙げられます。
プラチナバンドとは?
プラチナバンドとは、800MHz前後の周波数帯域を中心とした4G電波のことを指します。
通信における「特に価値の高い帯域」(プラチナ並みに貴重なバンド)ということでその名が付けられています。
ビルなどの障害物があっても回り込んで電波が届きやすいという特徴があります。
通信速度は5G電波の方が速いですが、アンテナ1つあたりがカバーできる範囲はプラチナバンドの方が広いです。
大手キャリアでは「プラチナバンド」の普及化が進んでいるのに対し、楽天モバイルはこの分野でかなり遅れをとっています。
2023年10月から、ようやく楽天モバイルにもプラチナバンドが割り当てられたため、今後この問題は徐々に解消されていくはずですが、サービス開始予定は2026年3月頃とまだまだ先です。
よって、現段階で楽天モバイル回線を固定回線化する場合は、このデメリットを理解したうえで、より快適に使えるための工夫が求められます。
通信速度が出にくい場合は、ルーターの設置場所を色々変えてみて、ベストなルーターの配置を割り出したり、
自宅が広い場合は、高性能なルーターへの買い替えや、中継用のルーターの増設が必要になる可能性もあります(手間とコストが掛かってしまう)
速度が出ない場合の改善策
●窓の近くにルーターを設置する
●床から離してルーターを設置する
●ルーターの近くに水槽や花ビンを置かない
●ルーターを電子レンジやコードレス電話機から離して設置する
●2.4GHz帯ではなく5GHz帯を使う
●高性能なルーターに買い替える
●広い家では中間に中継機を設ける
デメリット③:楽天モバイルの今後に不安が残る
最後のデメリットは、楽天モバイルの先行きが少し心配なことです。
携帯キャリア事業を展開していくためには、数兆〜数十兆円規模の設備投資が必要になります。
楽天モバイルは、この分野においてまだ歴史の浅い、新規参入の企業です。
『最強プラン』は文字通り「最強」といっても良いほどのコスパなのですが、最大の欠点は「まだアンテナの数が少ない」ことです。
この点については、なるべく早い段階で大手キャリアに肩を並べられるよう、急ピッチで通信環境の整備を進めています。
また、ブランド力も大手にはまだまだ敵いません。
熾烈な競争のなか、新規顧客を獲得していくためには広告やキャンペーンもバンバン打っていかなければなりません。
度重なる資金投入の結果、2022年12月末時点における楽天モバイルの負債は約1兆7千億円という、とてつもない金額に達しています。
この巨額の負債のうち、2024年には最大3000億円、2025年には最大5000億円の償還(返済)が控えています。
この状況は楽天モバイルの経営状態からして、かなり厳しいのでは?…というのが大方の見方のようです。
もちろん、これらを相殺するほどの営業利益が出せていれば問題ないのでしょうが、(数字を見る限り)現在に至るまでの業績はあまり芳しくはありません。
楽天モバイルでは事業開始から不振が続いており、2022年度には過去最大となる約3700億円もの赤字を出しています。
楽天側の見通しでは、2024年以降は黒字化に向けた上昇期になると予想されていますが、今後の業績次第では大規模な経営方針の転換を迫られる可能性があります。
つまり、楽天モバイルにとって厳しい経営状態が続けば、料金の値上げやプラン内容が(悪い意味で)変更になる場合もあり得るというわけです。
楽天モバイル固定回線化のまとめ
楽天モバイルの固定回線化は、楽天モバイル『最強プラン』を自宅のネット回線として利用するというものです。
通信速度は光回線より劣るものの、価格は楽天モバイルのほうが圧倒的に安いです。
使い勝手は「ホームルーター」「モバイルWi-Fi」と同等ですが、楽天モバイルにしかない優れたポイントもいくつかあります。
メリット
●月額料金が安い
『最強プラン』は、月額2980円(税抜)でデータ使い放題。月々のデータ使用量が少なければ、支払い額は更に安くなる。
→月額2,980円(税抜)でネット使い放題
●速度制限がない
他社の無制限プランにありがちな、使い過ぎによるペナルティ(通信制限)がない。
→速度制限を気にせずガンガン使える!
●契約時、解約時ともに手数料¥0
楽天モバイルは新規・乗り換え問わず、契約時の各種手数料が掛からない。また、仮にすぐ解約したとしても違約金なども発生しない。
→始めるときも、辞めるときもリスクなし!
楽天モバイルの魅力を一言でまとめるなら、「コスパが良い」ということに尽きます。
単純に月額料金だけをみても最安クラスですし、プラン内容にも独自性が光っています。
各種手数料も軒並みタダなうえ、固定回線化に必要なWi-Fiルーターも1円で手に入れることができます。
一方で、明らかな弱点というのも、いくつか存在します。
デメリット
●通信速度は光回線よりも遅い…
4Gはおろか、5Gでも通信速度は光回線よりも格段に劣る。さらに、楽天モバイルは大手キャリアと比べてアンテナの数が少ない
→光回線からの乗り換えだと後悔する可能性あり…
●スマホの電波は障害物に弱い…
モバイル回線は建物の中まで電波が届きづらい。とくに楽天モバイルはプラチナバンド化も進んでいないため、他社よりも障害物の影響を受けやすい。
→電波障害を少しでも減らすような工夫がユーザー側にも求められる…
●楽天モバイルの今後が不安…
楽天モバイルでは事業開始から赤字が続いており、2兆円近い負債を抱えている。現在の売上も想定を下回っているほか、数千億円規模の返済期限を控えている状況にある。
→料金の値上げ、サービスの低下が心配…
デメリットをまとめると、ズバリ「通信品質に不安が残る」ということです。
楽天モバイルは大手3社に比べてアンテナの数も少ないですし、建物内での利用に若干弱いです。
通信速度の面からみると、はっきり言って光回線の代わりとしては役不足です。
電波を利用する方式なので、通信の快適度は住んでいるエリアによって大きく変わる可能性もあります。
以上のように、一長一短ある楽天モバイル固定回線化ですが、多くの人にとっては試す価値アリだとおもいます。
試しに使ってみるだけなら、ほぼリスクというものが無いからです。
他社の回線の場合は、使ってみて「イマイチだな」と思っても、工事費や解約費の都合から簡単にやめるということができません。
対して、楽天モバイルでは契約時・解約時ともに手数料は取られませんので、とりあえず契約してみて満足できなければすぐに辞めることができます。
使い心地をチェックするために1ヶ月だけ加入してみる…なんてことも、楽天モバイルなら全然可能です。
通信速度を検証するだけなら、3ギガもあれば充分だと思いますので、1,078円の最低料金で使い始めることができてしまいます。
1年以内の解約かつ、利用実態がない場合は980円(税込1,078円)の解約事務手数料を請求される可能性があります。
※通常の利用方法であれば契約解除料(解約事務手数料)は発生することはないそうです。
楽天モバイル固定回線化で、物価高を乗り切れ!
ここ最近、あらゆるモノの価格が値上がりしています。
それに対して、私たちの収入はそれに見合うほど増えてはいません。
食費や光熱費などの目立つ分野については、すでに節約に取り組んでいる人も多いかもしれません。
ですが、「インターネット料金」にメスを入れている(節約に取り組んでいる)という人はまだ少ないはずです。
というのも、インターネットは「キャッシュバックキャンペーン」や「解約手数料」などが複雑に絡み合い、とても分かりにくい料金体系となっているからです。
そのため、乗り換えを検討するだけでも、ズーンと気が重くなってしまいます。
そんな人に向けて「通信費の節約の参考になれば」という思いから、今回の記事を作成してみました。
この記事が良かったら、ぜひ他の記事にも目を通していただけると幸いです!
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