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【強迫性パーソナリティ障害】真面目で優しい上司に悩まされる?意外な一面と対処法

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新しい上司がなんかヘン!?

4月に転任してきた新しい上司なんですが、一緒に仕事をしていると疲れるんです。

彼を知る人の前評判では、「優しい人」や「真面目な人」といった意見が大半でした。

実際会ってみると、そのとおり物腰柔らかそうな人でした。

ですが、初対面で会った時妙な違和感を感じたのを覚えています。

後になってわかるのですが、その予想は悪い意味で的中していました。

その仕事ぶりは正確で丁寧なのですが、細か過ぎるのです。

「生真面目な人なんだろうな」と思っていたのは最初だけ。気づいた頃には彼の本領発揮です。

ルールやマニュアルに固執するうえに細か過ぎるので、仕事が全然進みません。

まさかこんなハズでは…

彼と仕事をしてからまだ1ヶ月も経たないのですが、私自身はかなり疲弊しています。

私の携わる業務の担当者は正社員では、私と上司の2人だけです。いわばペアで仕事を進めなければなりません。

前年度の担当者は私と部下の2人でした。担当者の数に対して業務量が多いセクションのため、私は効率を重視して仕事を進めてきました。

それと同時に業務量負担の改善のため、上には人員増を求めました。

上層部も私の主張に一定の理解を示し、人員増の要求こそ通らなかったものの、私の部下と入れ替えで経験豊富な上司を配属した背景があるようです。

しかし、蓋を開けてみれば結果は前年度よりも悲惨な状況です。

救世主となるべくやってきたニコニコ顔の男は、とんでもないモンスターだったのです。

ルールに異常にこだわる

仮に私たちが警察官だと仮定します。

私が制限速度60キロの道路を65キロで走っている車を見つけたとします。

私なら「まぁ、許容範囲だな」と思うのでスルーします。

すると、道の先の方で上司がその車を検挙しているのです。

「いやー、すいません、見逃してしまいました。以後気を付けます。」

初めのうちはそんなふうに反省してみたこともありましたが、次第に彼の異常さに気付きはじめます。

次の日には、なんと61キロで走っていた車を取り締まります。彼は1キロの速度超過も許さない男だったのです。

次の日も、また次の日も…。誤差のようなスピード超過をしている車を片っ端から捕まえていきます。

彼は完璧主義者なので、他の業務にも手は抜きません。私たちに関連する業務のすべてを、この精度でもって進めようとします。

このようなやり方を続けていては、事務量は前年度よりも爆発的に増えていくのは必然です。当然、就業時間内で仕事を終わらせることはできなくなるため、連日残業が続きます。

恐ろしいのは、彼自身は長時間労働を厭わないことです。たとえ深夜までかかったとしても、仕事のすべてを完璧に終わらせなければ気が済みません。

私も何度か忠告してはみましたが、意に介する気配はあまりなさそうです。彼にとっては、法令や規則通りに仕事を遂行しているだけなのですから…。

彼はおそらく病気だと思われる。

私からみれば、彼はまさしく狂人です。

私自身も周りから神経質な方だと指摘されることがあるのですが、彼と一緒に仕事をしていると頭がおかしくなりそうです。神経質のレベルが桁違いだからです。

ここまでくると、なんらかの病気をわずらっている可能性が高いです。

彼の特徴から、当てはまりそうな疾患を推測してみることに。調べてみると「コレだ!」というものがみつかりました。

彼はおそらく「強迫性パーソナリティ障害」だと思われます。

強迫性パーソナリティ障害とは?

強迫性パーソナリティ障害(OCPDもしくはAPD)は、秩序や一定の流儀へのこだわりが強過ぎるために、それを完璧にやり遂げようとして、かえって支障をきたしているという様式が広範にわたり、著しい苦痛や社会機能の障害を伴っている状態である。

Wikipediaより引用

強迫性パーソナリティ障害は、いわゆる精神疾患です。基本的特徴としては、秩序や完璧主義にとらわれるあまり、柔軟性や効率性が損なわれることにあるようです。

規則や手順、形式に極端にこだわり過ぎるため、本来の目的を達成できないことが少なくありません。

また、道徳や倫理、自分の価値観にやたら誠実で、融通がききません。自分にも他人にも厳しい行為基準に従わせようとします。

ただし、自分自身の間違いについては非常に批判的という一面もあるようです。

上司の特徴にピッタリ当てはまる

これらは私の上司の行動の特徴にピッタリと当てはまります。

彼の行動規範は「規則」「ルール」「マニュアル」が全てであり、そこから少しでもはみ出るようなものがあれば全力で排除しようとします。

たとえそれがどんなに小さい事であろうと、例外は認めません。

これに加え、これまでのキャリアで形成された厳格な「マイルール」が出来上がっている点も非常に厄介です。

ルールどおりに進められている仕事についても、細かなアラを見つけては「間違えてはないけど、なんか気持ち悪い」と長時間にわたり一人で身悶えていることがあります。

要するに彼は完璧主義者であり、原理主義者なのです。

口癖は「100%の完成度で…」「少しのミスで信用されなくなる…」「少しでも妥協してしまったら、この会社に居る意味がない…」です。とにかく強い不安に苛まれている心理状態が傍目からも伺えます。

秩序を重んじるという点でも、強迫性パーソナリティ障害の特徴と一致します。組織の序列を気にしすぎるあまり、完全なるイエスマンに成り果ててしまっています。

自分で言ってしまいますが、こんな上司の下で働くことになった人は悲劇以外の何者でもありません。

なぜ彼の問題は顕在化していないのか?

前述のとおり、彼を知る人の評判はおおむね良好なものばかりです。

ではなぜ、今まで問題が顕在化していないのか?

①正論は評価されやすい

仕事を進めるうえで、規則やマニュアルを守ることは大事です。

逆に、それらを守らなかったとすると相応のリスクを抱えることになります。

たとえ失敗したとしても、ルールどおりに手順を踏んでいれば責められる心配は有りません。

リスクを嫌わない組織は存在しないため、規則に細かいのはデメリットではなくメリットなのです。

大枠で捉えるのなら、正論の主張は負ける可能性が低いです。

②実直さは評価されやすい

私の上司は仕事に対してひたむきです。

たとえ深夜になったとしても、納得が行くまで残業します。

長時間労働や職場環境に不満を漏らすことはあっても、上司の前で公然とは口にしません。

それどころか「全力で頑張ります」と、あくまで前向きな言葉を用います。

超過勤務を減らすように言われた場合でも問題はナシ。実際よりも過小な請求とし、サービス残業で対応するだけです。

自らの要領の悪さを事前に申告しておくことで、上司からは「アイツも頑張ってるみたいだし、超勤は多めにみてやるか」と可愛がられたりもします。

③部下を持った経験が少なかった

彼のやり方は、間違いなく部下を壊します。

彼と同じ気質を持ち、彼と同程度の知識やキャリアを持つ者以外には対応できません。

ただ、今まで彼が部下をダメにしたという噂は聞いたことがありません。

そこで単刀直入に聞いてみることに。

「〇〇さんの仕事のスタイルについていけなくて、部下が調子崩したりしたことって無いんですか?」

この失礼な質問に彼は一瞬ぎょっとしたものの、ニコニコしながらこう答えました。

「ないない(笑)とはいっても、部下って2回くらいしか持ったことがないんだよね。しかも全員俺よりも先輩だったから自由にやってもらってたよ」

年功序列という秩序を重んじる彼には、ほんとうの意味での部下はいないようでした。

ちなみにこの質問をしたときの彼は「俺ってそんなふうに思われてるの!?」と驚愕した表情をしていたのが印象的でした。

④前の職場は仕事量がとても少なかった

今の職場に来る前の彼は、地方の小さな支店に勤めていました。

そのため業務量は今の職場の1/4ほどです。

仕事の量が多くない場合、1件あたりに長い時間向きあうことが出来ます。

彼はヤル気もあるので、細部までギッチリ仕上げることが出来ました。

彼いわく「以前の職場の業務量の少なさには不満があった。新天地では自分の集大成を全力でぶつけてみたい」との決意があるようです。

限界を迎えるのは、上司か、私か?

彼はコレまでのキャリアのすべてを今の職場に賭けるつもりで、現在の業務に当たっているようです。

ですが、私はそんなこと知ったこっちゃありません。

このまま上司にまともに付き合っていると、不幸になるのは明白です。すでに前兆も出始めています。

いまのところは彼の言うとおりに物事を進めていますが、現実社会は理想論だけではうまく回っていきません。

私もオカシイと思うことは相手に伝える方ですし、彼よりも上席に現状を伝えて忠告はしてもらっています。

ですが、彼には間違ったことをしている自覚など無いのです。

彼はいくら口で言っても止まりません。私は仕事を自分で処理するのではなく、お望みどおりに大量の案件を彼に直接振ることにしました。これは彼自身が望んでいることでもあります。

初めのうちはキッチリ処理できるかもしれませんが、量とペースが上がればいつかは処理が追いつかなくなり破綻するはずです。

私ができるのは、彼を戦闘不能な状態にまで間接的に追い詰めることだけです。

強迫性パーソナリティ障害は諸刃の剣

彼はぱっと見、バイタリティに溢れた働き盛りの壮年です。朝早くから出社し、夜は誰よりも遅くまで仕事をします。

喫煙者ですが、業務時間中にタバコ休憩をとることは有りません。なぜなら執務中のタバコ休憩は(厳密にいえば)規則違反だからです。

課内では弱音を吐くことはなく、常に自分の職責を踏まえた発言を心がけているようです。

まさに優等生を絵に書いたような男です。ですが、彼の生き方は辛そうに思えてなりません。

ついこないだ、彼の顔をまじまじと見てみたところ、彼が抱えるストレスが浮き出ていました。

若い頃見掛けたことのある彼とはずいぶん様子がことなり、顔は土気色で肌はカサカサしています。まぶたは重く垂れ下がってショボショボした目をしています。

彼の選手生命はもう長くはないようです。

ただ私自身もこのままだと、じきに暗黒面に堕ちてしまいます。

私生活にも影響が出始めているため、早く居なくなってくれないかなと願う日々です。

上司が先か、私が先か?これが現在の私の最大の関心事です。

アナタは大丈夫?強迫性パーソナリティ障害の診断基準について

DSM-5

これは心療内科でも用いられる「DSM-5」と呼ばれるチェックリストです。

以下の項目のうち、4つ以上当てはまる場合は強迫性パーソナリティ障害の可能性があるようです。

  1. 活動の主要点が見失われるまでに、細目、規則、一覧表、順序、構成、または予定表にとらわれる。
  2. 課題の達成を妨げるような完全主義を示す(例:自分自身の過度に厳密な基準が満たされないという理由で、一つの計画を完成させることができない)。
  3. 娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事と生産性に過剰にのめり込む(明白な経済的必要性では説明されない)。
  4. 道徳、倫理、または価値観についての事柄に、過度に誠実で良心的かつ融通がきかない(文化的または宗教的同一化では説明されない)。
  5. 感傷的な意味をもたなくなってでも、使い古した、または価値のない物を捨てることができない。
  6. 自分のやるやり方通りに従わなければ、他人に仕事を任せることができない。または一緒に仕事をすることができない。
  7. 自分のためにも他人のためにも、けちなお金の使い方をする。お金は将来の破局に備えて貯めておくべきものと思っている。
  8. 堅苦しさと頑固さを示す。