今回はあまり知られていないものの、実は魅力に溢れる一台、スズキ・キザシについて掘り下げてみたいとおもいます。
スズキ・キザシとは?
スズキ・キザシは2009年から2014年まで製造されていた、スズキのフラッグシップセダンです。
つまり、スズキのラインナップの中で一番高いクルマです。
日本の道路事情にもマッチするサイズ感と、無国籍感が漂うスタイリングが特徴で、乗り心地と操縦性のバランスを大切に設計されています。
スズキ・キザシ
車種 | 4ドアセダン |
生産期間 | 2009年 – 2014年 |
エンジン | 2.4リッター直列4気筒 |
全長 | 4,650mm |
全幅 | 1,820mm |
全高 | 1,480mm |
ホイールベース | 2,700mm |
車両重量 | 1,490-1,560kg |
乗車定員 | 5名 |
Q: スズキ・キザシの名前の由来は?
A: キザシは日本語で「兆し(きざし)」を意味します。
この名前はスズキが新しいセグメントに挑戦する「兆し」を表しています。
先進的なデザイン
この車のデザインは、当時としては先進的なものでした。
エクステリアは「ダイナミックアスリートインモーション」をテーマに、可能な限りシャープなエッジを抑えて曲線基調とすることで、アスリートの躍動感を表現しています。
そのため流麗でありながら力強く、エレガントながらスポーティーな印象が感じられるものとなっています。
クーペライクなルーフラインやワイドなホイールベースなど、全体的にまとまったデザインが実現されています。
パワフルなパフォーマンス
エンジンは、エスクードにも搭載される直列4気筒 2.4L DOHCオールアルミエンジンのJ24B型を改良して166PSから188PSまで出力を向上したものが横置きに搭載されます。最大トルクは230Nmです。
トランスミッションは、パドルシフト付きのジャトコ製CVTで、国外仕様では6速MTもラインナップされます。
駆動方式は、i-AWDを採用する4WDとFFが用意されます。
サスペンションは前がマクファーソンストラット式、後ろがマルチリンク式となります。
また、ブレーキには曙ブレーキ工業製の4輪ディスクブレーキが採用されています。
パワートレイン
エンジン | J24B型 2.4L 直4 DOHC |
最大出力 | 138kW (188PS) |
最大トルク | 230N·m (23.5kgf·m) |
変速機 | ・CVT ・6MT(国外仕様のみ) |
足回り
サスペンション(前) | マクファーソン・ストラット式 |
サスペンション(後) | マルチリンク式 |
ブレーキ | 前後ディスクブレーキ |
プレミアムなインテリア
スズキ・キザシのインテリアもまた、その価格帯にしては高級感が漂います。
標準装備の本革シートにはダブルステッチが施されていたり、インパネのアクセントに使われているメッキにはサテン処理がされるなど、細部まで気配りの効いた内装です。
また、左右独立温度調節機能付きのオートエアコン、7スピーカー、ステアリングリモコンなどの快適装備も標準で付いてきます。
また、音響システムについてはRockford Fosgate社のプレミアムサウンドシステムを選択することもできます。
先進的なセーフティシステム
フラッグシップらしく、キザシは安全装備にもかなり力を入れています。
たとえば、スズキ初となる9エアバッグを標準で搭載しています。
また、米国IIHS(道路安全保険協会)による衝突安全テストでは、総合評価が最高レベルとなり「2013トップセーフティピック+」に認定されています。
このほか、横滑り防止装置やヒルホールドコントロールも標準装備されます。
さらに、アクティブクルーズコントロールシステム&衝突被害軽減ブレーキがセットでメーカーオプション設定され、安全支援機能を更に充実させています(2WDのみ、2010年1月モデル〜)。
売れなかった理由は、市場とのミスマッチ
しかし、なぜこれほどの魅力を持つキザシがあまり売れなかったのでしょうか?
キザシが成功しなかった理由の一つは、市場においての位置付けにあります。
スズキはもともとコンパクトカーや軽自動車で強みを持つメーカーで、そのイメージが強く根付いています。
そのスズキがフラッグシップセダンとして投入したキザシは、そのブランドイメージとは異なるものでした。
また、キザシが投入された当時は、自動車市場全体がSUVやクロスオーバーにシフトしていた時期でもあり、セダンという車種自体がマーケットの中で苦戦していました。
加えて、価格設定も一因とされています。スズキが提供する品質に見合った価格であったとしても、消費者の中でスズキ=低価格のイメージが強すぎた可能性があります。
新車価格について
日本 | 約280 – 308万円 |
北米 | 約$18,000 – $26,000 |
Q: スズキ・キザシはどれぐらい売れていましたか?
A: 日本におけるキザシの累計販売台数は約3000台です。そのうち約900台は警察車両として納入されているため、4台に1台はパトカーという計算になります。
まとめ
スズキ・キザシは、その洗練されたデザイン、パワフルなパフォーマンス、プレミアムなインテリア、先進的なセーフティシステムと、多くの魅力を備えた車です。
しかし、その市場ポジショニングと価格設定は、消費者の期待とはマッチしなかったようです。
キザシの失敗は、良い製品を作るだけではなく、その製品がどのように市場に受け入れられるかを深く理解することの重要性を教えてくれます。
製品の成功は、その品質だけでなく、ブランドイメージ、市場環境、価格設定など、多くの要素が組み合わさった結果となります。
それでもキザシは、スズキが挑戦し続ける姿勢を示す重要な一台であり、その意義は大きいです。
挑戦から学んだ教訓は、新たな成功への道しるべとなるでしょう。
スズキ・キザシはそのような視点から見ると、スズキの歴史の中で欠かせない存在と言えるでしょう。
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