主なタイヤの規格について
タイヤは製品ごとに、どの規格に沿ってつくられるかが決まっています。
大枠はISO(国際標準化機構規格)により定められていますが、国ごとに細かい部分の規格が異なります。
日本…JATMA規格
ヨーロッパ…ETRTO規格
アメリカ…TRA規格
ドイツ…DIN規格
国内で販売されるタイヤの多くは、国内規格に基づき製造されています。
一方で、数は少ないですが海外規格に沿って製造されたタイヤも販売されています。
今回は代表的かつ主要な、2つの規格について解説していきたいとおもいます。
JATMA規格
「JATMA(ジャトマ)規格」は、日本のタイヤ規格です。
日本国内においては、圧倒的にメジャーな存在となります。
国内メーカーはもとより、ミシュランやグッドイヤーといった海外メーカーについても、国内向けのタイヤはこの規格に基づいて製造されています。
この規格で製造されたタイヤの場合、充填できる空気圧の上限は240kPaまで、下限は180kPa となっています。
- JATMA(ジャトマ)は日本の規格
- 日本メーカーの国内向けタイヤは、この規格で製造されている
- ミシュラン、グッドイヤーの日本向けタイヤも、この規格で製造されている
- 空気圧は最大240kPa~最低180kPaまで
ETRTO
「ETRTO(エトルト)規格」は、ヨーロッパのタイヤ規格です。
この規格は自動車のタイヤだけではなく、バイクや自転車などにも採用されています。
自動車用タイヤだと…
- ミシュランやピレリなどヨーロッパのメーカーのタイヤ
- ハンコックやナンカンなどのアジアンタイヤ
- 日本のタイヤメーカーの海外向けタイヤ
など、主に海外からの輸入タイヤが該当します。
ETRTOについては、ここからさらに、2つの規格に細分化されます。
スタンダード規格
ETRTO規格の1つが、スタンダード(STD)規格です。
JATMA規格と同じ空気圧であればSTD規格の方が負荷能力は若干低いです。
よって、JATMA規格のタイヤから履き替えた場合、それまでよりも高い空気圧に設定しなければなりません。
充填できる空気圧の上限は250kPaまで、下限は180kPaまでとなっています。
エクストラロード規格
ETRTO規格のもう1つが、エクストラロード(XL)規格です。
レインフォースド(ReF)規格と呼ばれるものもあってややこしいですが、基本的に両者は同じ規格です。(XL規格=ReF規格)
※リインフォースドと言ったりもします
エクストラロードかレインフォースドか。タイヤメーカーによって、どちらの名称を採用するかが異なるだけとなります。
エクストラロードを直訳すると「余分の荷重」、レインフォースドは「補強された」となります。
内部構造を強くすることで、通常よりも多く空気を入れることが可能な、いわば強化タイヤです。
入れても良い空気圧の上限はJATMAやSTD規格からグンと上がって、290KPaまでとなります。下限は200 kPaです。
XL規格は高級車やスポーツカーなどの高性能車に採用されることが多いほか、扁平率の低いタイヤでよく見る規格となります。
マイカーをインチアップしている方にはおなじみの規格かもしれません。
JATMAとETRTO、両者の特徴について
日本では完全な多数派であるJATMA規格ですが、世界的にみるとETRTO規格の方がメジャーです。
JATMAはガラパゴス的な規格と言えるでしょう。
ではその特徴とはなにか?
それはETRTO(XL・ReF含む)規格に比べて「タイヤ自体が頑丈である」ことです。
ここで少し疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
「ヨーロッパの方がクルマの速度レンジが高いから、タイヤも頑丈に出来てるんじゃないの?」
「レインフォースドって[補強された]って意味なんでしょ?じゃあ、XL・RF規格の方が頑丈なんじゃ…」
確かにイメージ的にはそうですよね。
ここで思い出してほしいのが、XL規格の説明です。
通常よりも多く空気を入れることが可能になった強化タイヤ
空気をたくさん入れることで負荷能力を高められるのが、XL規格のタイヤの特徴です。
裏を返せば、空気をたくさん入れないと高い負荷能力は発生できないということ。
その点、JATMAは比較的低い空気圧でも十分な負荷能力を発揮できるような造りになっています。これは、タイヤそのものが頑丈だからに他なりません。
なにやら不思議な話のような気もしますが、タイヤの負荷能力を高めるには大きく2つのアプローチがあるというだけです。
- タイヤそのものを頑丈につくる
- タイヤの中身をパンパンにして強くする
- 日本国内で主流なのはJATMA規格である
- 世界基準はETRTO規格である
- JATMA規格の方が低い空気圧で高い負荷能力が発揮できるような構造となっている。
- ETRTO規格、とりわけXL・ReF規格は高い負荷能力が発揮できるよう多くの空気が入れられる構造となっている。
規格が異なることで起きるトラブルについて
国産車の場合、運転席ドア開口部に「指定空気圧表示」シールが貼られています。
シールに書かれている数値は、JATMA規格の国内向けタイヤを基準にしています。
その指定空気圧に合わせた ETRTO規格のタイヤ では、必要な空気圧が確保されていないケースがほとんどです。
タイヤに空気が足りないということは、負荷能力も足りていないということです。
特にXL・ReF規格のタイヤに指定空気圧しか空気を入れなかった場合は負荷能力が大幅に落ちてしまうことになりますので、 とても危険な状態となります。
空気圧(もしくは負荷能力)が不足すると…
- 転がり抵抗が増える(燃費悪化)
- 偏摩耗(片減り、ショルダー部)。
- 操縦安定性が低下。
- ハイドロプレーニング現象、スタンディングウェーブ現象が発生する可能性が高まる
- ホイールからタイヤが外れやすくなる
- コード切れやトレッドセパレーションなど、タイヤの損傷の可能性が高まる
上記のような大小さまざまなトラブル・アクシデントの発生が予想されます。
これらを防ぐにはまず、「自分の車に装着されているタイヤの規格はどれなのか?」
それを確認することから始まります。
自分のクルマのタイヤの規格はどれなのか?調べる方法について
メーカーのサイトにアクセスしてカタログから確認する方法もあるのですが、タイヤのラインナップも膨大ですし、タイヤ規格が記載されている箇所を探し出すのも大変です。
ということで今回はシンプルな方法をご紹介します。
マイカーに装着されているタイヤの規格について知りたい方は、タイヤのサイドウォール部を見てみてください。
2ステップで、
- JATMAか?
- ETRTO・スタンダードか?
- ETRTO・エクストラロード(レインフォースド)か?
確認することができます。
ですが…今回は大サービス!上と変わらず2つのステップで、
- JATMAか?
- ETRTO・スタンダードか?
- ETRTO・エクストラロード(レインフォースド)か?
- RTAか?
これら4つの規格までも網羅した調べ方をお教えいたしましょう。
このときに
- 履いているタイヤのロードインデックス(LI値)
- 「指定空気圧表示」シール
も併せてチェックしておくと、適正空気圧までも調べることが可能になります。
ステップ1 Ⓔのマークをさがす
正確にはE4(ないしE3)を〇印で囲ったようなマークをさがします。
マークは直径1㎝にも満たないような小さなマークですので、見落とさないようによく見ましょう。
このマークは ETRTO 規格であることを示すものとなります。
マークがあった
そのタイヤは ETRTO 規格 です。ステップ2-1へ進みます。
マークが無かった
そのタイヤは「JATMA規格」か「RTA規格」です。ステップ2-2へ進みます。
ステップ2-1 「EXTRA LOAD」もしくは「REINFORCED」の表記をさがす
こちらも小さな表記ですのでしっかりチェックしてください。
表記があった
【確認完了】 そのタイヤは「ETRTO・エクストラロード(レインフォースド)規格」です。
表記がなかった
【確認完了】 そのタイヤは「ETRTO・スタンダード規格」です。
ステップ2-2 タイヤサイズの先頭がPもしくはLTで始まるか確認する
タイヤサイズ表示部分の一番初めの文字がPもしくはLTでないかチェックします。
- P225/70R16
- LT225/70R16
もしも上記のような表示となっていれば、RTAというアメリカの規格のタイヤです。
ちなみPは乗用車用のタイヤを意味する「Passenger Car Tire」から、
LTは小型トラック用のタイヤを意味するLight Truck(小型トラック用タイヤ)からきています。
RTA規格はオフロードタイヤなどで見かけることが多いです。
表記があった
【確認完了】 そのタイヤは「RTA規格」です。
表記がなかった
【確認完了】 そのタイヤは「JATMA規格」です。
各規格ごとの負荷能力を調べたい方はこちらから【空気圧別負荷能力対応表】
自分のタイヤの規格がわかったら、あとは適正空気圧を確認して、空気を入れに行くだけです。
適正空気圧は『空気圧別負荷能力対応表』から確認できます。下記の2点を事前にチェックしたうえで調てみてください。
- 履いているタイヤのロードインデックス(LI値)
- 「指定空気圧表示」シール
国内のタイヤメーカーのサイトなどでもこの表は確認できますが、
このサイトだとそれぞれの規格が同じページで見ることができる、という理由からタイヤファクトリー様のリンクを貼らせて頂きました。
まとめ
規格が異なるタイヤへ履き替える場合、ドライバーは空気圧に注意する必要があります。
タイヤを純正品以外のものへ交換する際は、新しいタイヤの規格をカタログやメーカーのWEBサイトなどで確認するようにしましょう。
すでにマイカーについているタイヤの規格が知りたい場合は、今回紹介した方法で調べてみてください。
- カーブでふらつく…
- タイヤの端だけ減る…
- 乗り心地が思ったより良くない…
- ハンドルが重い…
- 燃費が悪化した…
「タイヤを買い替えたが、前のタイヤよりも良くない」と感じる場合、もしかしたらタイヤの規格が変わった可能性があります。
空気圧を適正にしてあげることで、このような不満が解消するかもしれません。
みなさんも一度、マイカーの「タイヤの規格」についてチェックしてみませんか?
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[…] 【タイヤの規格について】見分け方についても解説。タイヤは製品ごとに、どの規格に沿って作られるかが決まっています。自動車が装着するタイヤの規格はISO(国際標準化機構規格) […]
[…] 【タイヤの規格について】見分け方についても解説。タイヤは製品ごとに、どの規格に沿って作られるかが決まっています。自動車が装着するタイヤの規格はISO(国際標準化機構規格) […]